マンション売却ガイド
マンション売却の注意点13選|売却前・売却中・契約後まで段階別に徹底解説

マンション売却では、知らずに進めると手取りの減少やトラブルにつながりかねないポイントがいくつかあります。マンション売却の注意点は、売却前(準備・査定)、売却活動中、契約・引渡し時、売却後(税金)の4つの段階に分けて押さえるのが効率的です。特に投資用マンションは、マイホーム(自分・家族が住む住宅)と買主も価格の決まり方も異なるため、投資用ならではの注意点があります。
本記事では、賃貸中の投資用マンションを所有するオーナーに向けて、段階別の注意点13個を解説します。
マンション売却前の注意点5つ

①ローン残債と管理費・修繕積立金の未納を確認する
最初に確認したいのが、売却代金でローンを完済できるかどうかです。ローン付きの物件は決済時に売却代金でローンを一括返済し、抵当権を抹消して引き渡すのが一般的なため、金融機関の残高証明書やWebサービスで残債を確認し、想定売却価格とのバランスを把握しておきましょう。売却価格が残債を下回りそうな場合は、自己資金の充当など個別の対処が必要になるため、早めに金融機関や不動産会社に相談するのがおすすめです。 また、管理費・修繕積立金に未納があると、売買契約や引渡しの支障になり得ます。未納分は管理会社が発行する重要事項調査報告書(管理費・修繕積立金・管理状況などをまとめた書類)にも記載されるため、査定・販売の前に精算しておくと安心です。②査定額の根拠を確認する|高値査定を鵜呑みにしない
査定額は成約を保証するものではなく、売れる見込みのある価格の提示です。査定額の高さだけで依頼先を決めると、その価格では買主が付かず、売却が長引く場合があります。投資用マンションの価格は収益還元法(年間家賃÷期待利回りで価格を求める手法)・現行賃料・買主が利用する金融機関の評価(銀行評価)の影響を受けやすいため、「なぜその金額なのか」を根拠とともに説明できる会社かどうかを確認しましょう。 なお、一括査定サイト等は、物件情報や連絡先が複数の会社へ同時に共有される仕組み上、営業連絡が増えやすく、情報の共有範囲を事前に把握しづらい面があります。まずは投資用物件の売却実績があり信頼できる会社に絞って相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを取るのがおすすめです。③税率の判定時期を確認する|売却した年の1月1日時点が基準
売却益にかかる譲渡所得税(所得税・住民税)の税率は、所有期間が5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%と大きく異なります。注意したいのは、所有期間が「売却した年の1月1日時点」で判定される点です。実日数では5年を超えていても、1月1日時点では5年以下となり、短期譲渡の高い税率が適用される場合があります。 売買契約を結ぶ前に、購入時の売買契約書や登記事項証明書で取得日を確認し、売却予定年の1月1日時点で5年を超えているかを確かめておきましょう。なお、所有10年・15年・20年以内といった年数の節目も、減価償却の残りやローン残債の状況を見直す一つの検討材料になり得ます。④取得費がわかる書類を探しておく
譲渡所得は「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算するため、取得費(購入価格や購入時の諸費用。建物部分は減価償却費相当額を差し引く)を証明する書類が重要です。購入時の売買契約書などがなく取得費が分からない場合は、売却価格の5%相当額を取得費とすることができる制度(概算取得費)がありますが、これは「契約書がなければ必ず5%になる」という意味ではありません。 実際の購入額は売却価格の5%を上回ることがほとんどのため、概算取得費で計算すると譲渡所得が過大に算出され、税負担が数百万円規模で重くなるおそれがあります。契約書が見当たらない場合は、5%で計算する前に、購入時の不動産会社やローンを利用した金融機関への問い合わせ、通帳の振込履歴の確認など、取得費を示す資料を探しておきましょう。判断に迷う場合は税理士等の専門家に確認するのがおすすめです。⑤信頼できる不動産会社を選ぶ|仲介だけでなく買取会社も含めて比較する
依頼先は仲介会社に限定せず、自社で直接買取・販売を行う会社(買取再販会社)も含めて比較することが大切です。仲介は不動産会社に買主を探してもらう方法、買取は不動産会社が直接買い取る方法で、投資用マンションの買主は仲介でも投資家や不動産会社が中心となるケースが多くなります。 仲介会社を選ぶ際は、査定根拠の明確さに加えて、仲介手数料0円の仕組みを確認しましょう。売主の手数料を0円とする代わりに買主側から手数料やコンサルティング料を回収する構造の場合、結果的に売買価格が低くなるケースもあるため、手数料0円=お得とは限りません。買取会社を選ぶ際は、提示価格が仲介で売却した場合の手取り(売買価格−仲介手数料)を上回るか、即決できる手取りとして納得できるかを確認するとよいでしょう。 依頼先となる会社の選び方の基準について詳しく知りたい方は、「ワンルームマンション売却はどこに頼むのがおすすめ?依頼先選びの基準と注意点を徹底解説」もあわせてご覧ください。マンション売却活動中の注意点3つ

⑥売り出し価格を銀行評価・収益還元法の水準から乖離させない
投資用マンションの買主は投資家や不動産会社(買取業者)が中心で、多くが融資を利用します。そのため、銀行評価や収益還元法の水準から乖離した高い売り出し価格は、買主の検討対象から外れやすくなるものです。長期間売れないまま販売情報が古くなると、「何か問題があるのでは」と受け止められる場合もあるため、査定根拠に沿った価格で売り出し、値下げは買主からの指値(希望価格の提示)に応じる形で段階的に検討しましょう。⑦同じマンションの別部屋の売り出し状況を確認する
同じマンション内で別の部屋が売りに出ていると、買主は間取り・階数・賃料・価格を並べて比較しやすくなります。競合する売り出しが多い時期は価格競争になりやすいため、売り出し前に不動産会社を通じて同一マンションの販売状況を確認し、売り出しの時期や価格設定の参考にするとよいでしょう。⑧賃貸中は入居者への配慮を忘れない
賃貸中(オーナーチェンジ)の売却では、室内の内覧は難しい場合が多く、買主は賃貸借契約書・現行賃料・入居時期などの賃貸状況資料と重要事項調査報告書をもとに判断します。入居者に内覧の協力を求める必要はなく、売却活動が入居者の生活に影響しないよう配慮しながら進めるのが一般的です。 また、借地借家法上、貸主の都合で一方的に入居者に退去を求めることは難しいケースが多いため、空室にしてから売ることを前提にはできません。もっとも、空室=低評価とも限らず、家賃相場が上昇しているエリアや販売会社の家賃設定によっては、空室のほうが査定が伸びる物件・エリアもあります。入居状況は物件の条件の一つとして依頼先に伝え、売り出し方を相談しましょう。マンションの売買契約・引渡し時の注意点3つ

⑨契約不適合責任に注意する
契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容と適合しない場合(雨漏り・設備の不具合など)に売主が負う責任です。売却時には、把握している不具合や過去の修繕歴を付帯設備表・告知書に正直に記載しましょう。不具合を隠して売却すると、引渡し後に買主から修補請求・代金減額・損害賠償・契約解除などを求められるトラブルにつながるおそれがあります。 契約書では、契約不適合責任の範囲や期間がどう定められているかも確認が必要です。買主が不動産会社(買取業者)の場合は免責や期間の短縮とされるケースもありますが、条件は契約ごとに異なるため、契約前に内容を確認しておきましょう。⑩手付解除・違約金の条件を確認する
売買契約時には、買主から手付金(売買代金の一部。5〜10%程度が一般的)を受領します。契約書では、手付金の額とあわせて、手付解除ができる期限・条件を確認しておきましょう。一般に、買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を現実に提供することで解除できますが、民法上は相手方が契約の履行に着手した後は手付解除できません。 また、契約後に一方の都合で契約が履行されない場合の違約金は、個別の契約内容にもよりますが、売買代金の10〜20%程度と定められるケースが一般的です。決済日までのスケジュールに無理がないか、買主の融資特約(融資が承認されなければ白紙解除できる条項)の有無と期限はどうなっているかも、契約前に確認しておくと安心です。⑪賃貸借契約・敷金の引き継ぎと決済時の精算内容を確認する
オーナーチェンジでは、入居者との賃貸借契約と敷金の返還義務が買主(新オーナー)に引き継がれることが一般的です。これに伴い、売却が決まった段階で管理会社に連絡し、管理委託契約の解約時期を決済日に合わせて調整すること、決済後に入居者へ賃料振込先の変更を新旧オーナー連名の通知で案内することを、時系列で漏れなく行いましょう。 決済時には、敷金返還債務が買主に承継されることに伴い、売主・買主間で敷金相当額を売買代金から控除するなどの方法で精算するほか、家賃や固定資産税・都市計画税を決済日を基準に精算するのが一般的です。想定していた手取りとずれが生じないよう、精算書の内訳を事前に確認しておきましょう。マンション売却後の注意点2つ|税金・確定申告

⑫確定申告を忘れない
売却によって譲渡所得(売却益)が出た場合は、売却した翌年に確定申告が原則として必要です。投資用マンションで注意したいのは、「購入価格より安く売却したから申告は不要」とは限らない点です。建物部分は保有期間中に減価償却されて簿価(帳簿上の取得費)が下がっているため、売却価格が購入価格を下回っていても簿価を上回っていれば譲渡所得が発生し、課税されるケースがあります。 申告をしないまま放置すると、無申告加算税や延滞税が課されるおそれがあります。売却した年のうちに必要書類を整理し、判断に迷う場合は税理士等の専門家に確認しましょう。なお、納付は所得税と住民税で時期がずれるため、次の⑬もあわせて確認しておきたいところです。国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
売却にかかる税金の計算方法や確定申告のポイントについて詳しく知りたい方は、「投資用マンションの売却にかかる税金はいくら?2026年の最新ルールと節税・確定申告のポイントを解説」もあわせてご覧ください。⑬納税資金を残しておく|所得税と住民税は納付時期がずれる
譲渡所得が出た場合、税金の納付時期にはタイムラグがあります。所得税は売却した翌年の3月15日までに確定申告とあわせて納付しますが、住民税はさらに同年6月以降に納付書が届き(給与天引きの場合は6月から翌年5月にかけて徴収)、所得税を払った後も住民税の支払いが残る形です。 売却代金が入ると、次の投資や大きな買い物に充てたくなるものですが、税金分を使い切ってしまうと納付時に資金が足りなくなるおそれがあります。譲渡所得税のおおよその額を事前に試算し、税金分は別口座に確保しておくことをおすすめします。マンション売却の注意点を押さえたら「今の価格」の確認から始めよう

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Qマンション売却で最も気をつけることは何ですか?
A 特に重要なのは売り出し価格の根拠です。投資用マンションの価格は収益還元法・現行賃料・銀行評価の影響を受けやすいため、根拠を説明できる信頼できる会社と価格を決めることが大切です。
Q不動産売却の5%ルールとは何ですか?
A 購入時の売買契約書などがなく取得費が分からない場合に、売却価格の5%相当額を取得費とすることができる概算取得費の通称です。5%で計算すると税負担が重くなりやすいため、契約書が見当たらない場合は購入時の不動産会社やローン利用銀行への問い合わせなどで取得費が分かる資料を探すことをおすすめします。
Q売れない場合はどうすればよいですか?
A 専任系の媒介契約の有効期間である3か月を一つの節目に、売り出し価格・販売活動の報告内容・依頼先を見直すのがおすすめです。買取への切り替えも選択肢になります。
Q賃貸中の売却で特に注意することはありますか?
A 室内の内覧は基本的にできないため、賃貸状況の資料を整えることが大切です。また、賃貸借契約・敷金は買主に引き継がれるため、管理会社への連絡や入居者への通知を漏れなく行いましょう。決済時には敷金・日割り家賃・固定資産税の精算があるため、精算書の内訳も事前に確認しておくと安心です。
まとめ

【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令・市況は2026年8月時点の情報に基づいており、今後変動・改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。




