不動産投資・運用
投資用マンションの買取とは?仲介との違い・相場・メリットや税金を解

投資用マンションの買取とは、不動産会社が売主から物件を直接買い取る売却方法です。買主を探す仲介と違い、早期に現金化しやすい一方、再販の利益を見込むぶん買取価格が低くなる場合もあります。ただし、買取を依頼する物件の販売が得意な会社であれば、高額査定になるケースもあります。
本記事では、投資用物件を所有するオーナーに向けて、買取と仲介の違い、メリット・デメリット、投資用ならではの価格の決まり方や税金の注意点を順に整理し、売却をご検討の方が判断しやすいように解説します。
投資用マンションの買取とは?仲介との違い

| 比較の軸 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 売却スピード | 最短数日〜数週間で現金化できる場合がある | 3〜6か月程度かかるケースが多い |
| 売却価格 | 再販の利益を見込むぶん低くなる場合もあるが、販売が得意な会社なら高額査定になるケースもある | 手数料の分が売却価格・手残りに影響する |
| 仲介手数料 | 不動産会社との直接取引なら不要となるケースが多い | 売却価格×3%+6万円+消費税が上限(800万円超の場合)※800万円以下は2024年7月施行の特例により最大33万円(税込)となる場合あり |
買取|不動産会社が物件を直接買い取る売却方法
買取(不動産会社が売主から物件を直接購入する取引)は、買主を市場で探す必要がないため、条件が折り合えば短期間で売買が成立しやすいのが特徴です。買い取った会社は、リフォームや再販、賃貸運用などを前提に購入します。投資用マンションの場合、賃貸中のまま所有者だけが変わる「オーナーチェンジ(入居者との賃貸借契約を引き継いだまま売買する取引)」の形でも売却できるケースが多く、入居者に退去を求めずに手放せる点が実務上のメリットです。仲介|買主を探して売却する方法との違い
仲介(不動産会社が買主を探す取引)は、広告や不動産流通ネットワークを通じて買主を募る方法です。買主が見つかるまでに時間がかかり、売却期間は3〜6か月程度になるケースが多く、成約時には仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税が上限、売却価格800万円超の場合)が発生します。仲介会社は売主・買主のいずれか一方または双方から手数料を得るため、その分が売却価格や手残りに影響します。買取と比べると、期間や手続きの負担が大きくなりやすい点が主な違いです。買取と仲介はどちらがよい?スピード重視か価格重視かで選ぶ
一般的には、早く確実性を高めて手放したいなら買取、時間をかけてでも高く売りたいなら仲介、と言われているケースが多いです。ただし、これは単純に言えるものではありません。仲介に出さず自社で直接買い取り・再販まで手がける会社の場合、間に立つ会社が少ないぶん、結果的に高値での買取につながるケースもあります。表面的な提示価格だけでなく、諸費用や手数料を差し引いた「実質的な手取り」で比較することが大切です。 投資用マンションの仲介と買取の違いについて、実質的な手取りの観点からより詳しく知りたい方は、投資用マンションの仲介と買取の違いは?「実質的な手残り」で考える本当の選び方もあわせてご覧ください。投資用マンションを買取で売るメリット

現金化が早い|最短数日〜数週間で決済できる場合がある
買取では、不動産会社が直接の買主となるため、買主を探す期間が原則として不要です。条件がまとまれば、最短数日から数週間程度で決済まで進み、早期に現金化できる場合があります。相続や住み替え、他の投資への組み替えなどで資金化を急ぎたい場合に向いた方法と言えます。ただし、権利関係の確認や必要書類の準備状況によって期間は前後するため、スケジュールは依頼先とあらかじめ擦り合わせておくと安心です。仲介手数料がかからない|直接取引の場合
不動産会社が直接買い取る取引では、仲介が介在しないため、仲介手数料がかからないケースが多くなります。仲介の場合、手数料は売却価格×3%+6万円+消費税が上限として発生します(売却価格800万円超の場合。800万円以下は2024年7月施行の特例により最大33万円(税込)となる場合があります)。この負担を抑えられる点はメリットです。 ただし、手数料の有無だけで単純に得と判断しない視点も大切です。仲介会社のなかには売主からの手数料を0円とする場合もありますが、その際は買主側から手数料やコンサルティング料を得ることで、結果的に売買価格が高く設定され、直接買い取る会社の提示額より手取りが少なくなる場合もあります。手数料の名目だけでなく、最終的な「手残り」で比較することをおすすめします。周囲に知られず売却できる|秘密を保ちやすい
買取は、不動産ポータルサイトなどへの広告掲載を前提とせずに進められるため、売却を検討している事実が周囲や入居者、勤務先などに知られにくいという利点があります。売却情報を広く公開したくない事情がある場合には、こうした形で静かに進めやすい点がメリットです。投資用マンションを買取で売るデメリット・注意点

買取価格が市場価格よりやや低くなりやすい
不動産会社は再販や賃貸運用を前提に買い取るため、買取価格は再販時の販売価格から会社の利益やコストを差し引いた水準になります。ただし、昨今の投資用マンション市場では再販時の利益率が10%に満たない水準で買い取る会社も多く、「市場価格の◯%が目安」と一律には言えません。買取を依頼する物件の販売が得意な会社であれば、高額査定になるケースもあります。相場感をつかむ際は、公的な価格指標もあわせて確認しておくと判断しやすくなります。なお、相場の数値は時期によって変動するため、最新の水準を確認することをおすすめします。悪質な買取業者や詐欺に注意が必要
買取を進めるうえでは、極端に高い査定額を提示してくる業者や、これまで取引のない相手から届く高額査定のダイレクトメールなどには注意が必要です。高い査定額で契約を促しておきながら、後から値下げ交渉に持ち込むといった手法が見られる場合もあります。提示された金額の妥当性は、他社の査定結果や公的な相場データと照らし合わせて確認することが大切です。複数の情報源で裏付けを取りながら、慎重に判断するようにしましょう。投資用マンションの買取価格の決まり方・相場

収益還元法|年間純収益(NOI)÷還元利回りが基準
投資用マンションの価格は、収益還元法(物件が生み出す収益をもとに価格を算定する考え方)が基準になるケースが多くなります。具体的には、年間の純収益(NOI=家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税などの経費を差し引いた額)を還元利回りで割って価格の目安を求めます。利回りには、経費を考慮しない表面利回りと、経費を差し引いた実質利回りがあり、どちらを用いるか、また空室率や賃料などの想定条件によって結果が変わります。実際の査定では、これらの前提を確認しておくことが大切です。銀行評価が価格の上限になりやすい|買主の多くが融資を利用
投資用マンションの買主は、購入資金に融資を利用することが多いため、金融機関の担保評価(銀行評価)が価格を考えるうえで大きな影響を与えます。銀行評価が伸びにくい物件は、買主が希望額の融資を受けにくく、結果として提示価格が抑えられやすい傾向があります。ただし、銀行評価はあくまで価格を考える一つの目安であり、退去後の賃料引き上げなどを見込む買主が評価を上回る価格を提示することもあるため、絶対的な上限と決めつけられるものではありません。築年数・法定耐用年数・旧耐震なども価格に影響する
築年数や法定耐用年数(税務上、建物の価値を計算する際に用いる年数)、旧耐震(1981年5月31日以前の耐震基準で建てられた物件)といった要素も、価格に影響します。とくに法定耐用年数を超えた物件や旧耐震の物件は、融資期間が短くなったり融資が付きにくくなったりする場合があり、買主が付きづらく価格が上がりづらい傾向があります。一方で、立地や賃料水準によっては評価が出やすいケースもあるため、物件ごとに個別の確認が必要です。投資用マンションを買取業者に売る流れ

査定依頼|収益物件に強い会社に相談する
はじめに、現行賃料・利回り・ローン残債・保有期間などの情報を整理したうえで、収益物件の取り扱いに強い会社へ査定を依頼します。投資用は、マイホーム向けの査定とは評価の視点が異なるため、収益物件の実績がある会社に相談するとスムーズに進みやすくなります。なお、投資用では多数の業者へ一斉に情報を出すと、不特定多数の業者から営業連絡が入るほか、所有者リストとして情報が出回るリスクや、実現不可能な高額査定を提示され媒介契約を結んだもののまったく動きがない状態となるリスクがあります。まずは実績があり信頼できる会社に絞って相談し、相場感をつかむ進め方がおすすめです。特に販売が得意な会社と直接やり取りできた場合、思わぬ高額査定につながることもあります。買取価格の提示・条件交渉|金額と引渡し時期を確認
査定を経て買取価格が提示されたら、金額だけでなく、引渡し時期や賃貸借契約の引継ぎ条件(オーナーチェンジの場合の敷金・保証金の扱いなど)もあわせて確認します。提示条件に疑問があれば、根拠を確認しながら交渉を進めます。複数の要素を総合的に見て、実質的な手取りが見合うかどうかを判断することが大切です。売買契約・決済・引渡し|ローンの一括返済と抵当権抹消
条件が整ったら売買契約を結び、決済日に代金の受け取りと物件の引渡しを行います。ローンが残っている場合は、決済時に受け取った代金で残債を一括返済し、あわせて抵当権抹消の登記手続きを行うのが一般的です。なお、金融機関によっては繰上返済手数料が発生する場合があるため、事前に確認しておくと安心です。投資用マンションを買取業者に売る際にかかる費用

印紙税|売買契約書に貼付する収入印紙
不動産の売買契約書には、記載金額に応じた収入印紙の貼付が必要で、これが印紙税にあたります。不動産譲渡契約書には軽減措置が設けられており、対象となる契約の作成期限は2027年3月31日までとされています(適用期間は今後変動する場合があります)。また、書面ではなく電子契約で締結する場合には、印紙税は課されません。具体的な税額は契約金額によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。抵当権抹消費用|登録免許税と司法書士報酬
ローンを利用している物件を売却する際は、完済にあわせて抵当権抹消の登記が必要になります。登録免許税は不動産1個につき1,000円で、マンションの場合は土地と建物を合わせて通常2,000円程度です。あわせて、手続きを司法書士に依頼する場合は、報酬として1〜2万円程度が目安となります。金額は物件や依頼先によって異なるため、事前に見積もりを確認しておくとよいでしょう。法務局 住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)
ローンの繰上返済手数料|金融機関により異なる
残債を一括返済(繰上返済)する際には、金融機関によって手数料が発生する場合があります。無料〜数万円程度が中心ですが、残債の1〜2%程度の定率型では高額になることもあります。要否や金額は金融機関やローンの種類によって異なるため、返済方法や手続きの流れとあわせて、借入先の金融機関にあらかじめ確認しておくと安心です。投資用マンションを買取業者に売却するときにかかる税金

譲渡所得税|保有期間で税率が変わる
不動産の売却益(譲渡所得)には、譲渡所得税(不動産を売って得た利益に課される税金)がかかります。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算します。税率は所有期間によって変わり、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年を超える場合は長期譲渡として約20.315%、5年以下の場合は短期譲渡として約39.63%が適用されます。ここで注意したいのは、所有期間が「売却した年の1月1日時点」で判定される点です。実日数では5年を超えていても、1月1日基準では短期に該当する場合があるため、売却のタイミングには注意が必要です。国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算/国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
投資用マンションの売却にかかる税金や節税、確定申告のポイントについて詳しく知りたい方は、投資用マンションの売却にかかる税金はいくら?2026年の最新ルールと節税・確定申告のポイントを解説もあわせてご覧ください。売却価格<購入価格でも譲渡所得税がかかるケースがある
「購入時より安く売るのだから税金はかからない」と考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。投資用マンションでは、保有期間中に減価償却(建物の価値を年数に応じて費用計上する会計処理)が進み、取得費(簿価)が下がっていきます。その結果、売却価格が購入価格を下回っていても、計算上は譲渡所得が生じ、課税されるケースがあります。実際の税額は取得費や減価償却の累計などによって変わるため、個別の試算は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。消費税|個人の売主は原則かからない(課税事業者は建物分に注意)
個人の免税事業者が投資用マンションを売却する場合、売却代金そのものには原則として消費税がかかりません。また、土地の譲渡はそもそも非課税とされています。一方で、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税事業者の場合は、建物部分の売却に消費税がかかる点に注意が必要です(2026年7月時点)。自分が課税事業者に該当するかどうかの判定は複雑になりやすいため、不明な場合は税理士などの専門家に確認しながら進めると安心です。国税庁 No.6201 非課税となる取引/国税庁 No.6501 納税義務の免除
まずは投資用マンションの想定買取価格を把握することから

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面倒な手続きやしつこい営業電話はなく、直接取引のため仲介手数料は0円。条件が整えば最短翌日契約でスピード売却にも対応できます。まずは価格の目安を知ることから始めてみましょう。投資用マンションの買取に関するよくある質問

Q投資用マンションの買取価格は仲介の相場よりどのくらい安くなりますか?
A 物件や依頼先によって差があり、一概には言えません。買取価格は再販時の販売価格から会社の利益やコストを差し引いて決まりますが、昨今の投資用マンション市場では利益率が10%に満たない水準で買い取る会社もあり、相場に近い金額になるケースもあります。買取を依頼する物件の販売が得意な会社であれば、高額査定になることもあります。
Q賃貸中やサブリース中でも買取してもらえますか?
A 賃貸中(オーナーチェンジ)やサブリース中でも、買取の対象となるケースが多くなります。賃貸借契約やサブリース契約の引継ぎ条件を確認したうえで進めるのが一般的です。契約内容によって取り扱いが異なる場合もあるため、事前に相談しておくとよいでしょう。
Q5年以内に売却すると税金は高くなりますか?
A 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得として税率が高くなります(2026年7月時点)。所有期間は1月1日を基準に判定されるため、数え方に注意が必要です。詳細は税理士などの専門家にご確認ください。
Q売却益が出ていなくても税金はかかりますか?
A 保有期間中の減価償却によって取得費が下がっているため、売却価格が購入価格を下回っていても、計算上は譲渡所得が生じて課税されることがあります。実際の税額は個別の条件によって変わるため、専門家に確認することをおすすめします。
まとめ

【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令・市況は2026年7月時点の情報に基づいており、今後変動・改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。




