投資用マンションの売却にかかる税金はいくら?2026年の最新ルールと節税・確定申告のポイントを解説

投資用マンションを売却するとき、多くのオーナーが最初に気になるのが「税金でいくら持っていかれるのか」という点です。特に所有期間が5年を境に税率が約2倍変わるため、タイミングを誤ると手取りに数十万円規模の差が生じることもあります。
本記事では、売却時にかかる税金の種類、譲渡所得税の計算式、節税の勘どころを順に整理します。読み終えるころには、ご自身のケースでおおよその税額を見積もり、確定申告の要否を判断できる状態を目指します。
投資用マンションの売却で発生する税金は大きく4種類

投資用マンションを売却するときにかかる税金は、譲渡所得税・印紙税・登録免許税・消費税の4種類に整理できます。
まずは全体像を一覧で押さえたうえで、それぞれの中身を確認していきましょう。
| 税金の種類 | 目安金額 | 発生タイミング |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 数十万〜数百万円 | 売却益の発生時 |
| 印紙税 | 200円〜48万円 | 売買契約締結時 |
| 登録免許税 | 2,000円程度 | 抵当権抹消等の登記時 |
| 消費税 | 売却金額に応じた金額 | 課税事業者による売却時 |
なかでも最も影響が大きいのが譲渡所得税で、売却益に対して20.315%もしくは39.63%が課税されます。残る3つは契約や登記、課税事業者かどうかに応じて発生する付帯的な税金です。
以下では、譲渡所得税以外の3つの税金について、詳しく見ていきましょう。
なお、譲渡所得税については、「投資用マンションの売却にかかる譲渡所得税の計算方法」で詳しく解説しています。
印紙税|200円〜48万円
印紙税は、不動産売買契約書に貼付する収入印紙の代金です。
【売却金額ごとの印紙税額一覧】
| 契約書に記載された金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|
| 10万円超〜50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円超〜10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
| 50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
契約金額が1万円未満は非課税です。軽減税率は2027年3月31日作成分まで適用されます。
契約書に記載される売却金額に応じて段階的に決まる仕組みで、たとえば売却金額が1,000万円超〜5,000万円以下の契約書なら本則2万円のところ、軽減措置の対象で1万円となります(2027年3月31日まで延長)。
ワンルームなど数千万円規模の売却であれば、1万〜2万円のレンジに収まるケースが大半です。
登録免許税|2,000円
売却時の登録免許税は、抵当権抹消登記にかかる税金です。不動産1件につき1,000円なので、建物と土地のそれぞれで1,000円、合計2,000円が目安となります。
なお、取得時にかかる「所有権移転登記の登録免許税」は買主負担となるのが一般的です。混同しやすいので、ここでは「売主が負担するのは抵当権抹消分のみ」と整理しておきましょう。
司法書士に依頼する場合は別途、報酬として1〜3万円程度が発生します。
消費税|売却金額に応じた金額
個人が不動産を売却する場合、売主が「課税事業者」に該当しなければ、消費税は課税されません。
一方、課税事業者に該当する場合は、建物部分の譲渡対価に対して10%の消費税が課税されます。
課税事業者かどうかの基本的な判定基準は、売却した年の前々年における課税売上高が1,000万円を超えているかどうかです。加えて、前年上半期(特定期間)の課税売上高による判定や、インボイス制度の適格請求書発行事業者として登録している場合は、基準期間の売上にかかわらず課税事業者となる点にも注意が必要です。
なお、複数の収益物件を保有し、店舗・事務所など事業用テナントへの賃貸収入が大きい個人オーナーは、知らないうちに課税事業者となっているケースがあります。
投資用不動産の売却を検討する際は、まず自身が課税事業者に該当するかを事前に確認しておきましょう。
投資用マンションの売却にかかる譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりです。
ここでのポイントとなるのは、税率・取得費・譲渡費用の3つです。
特に課税所得税の税率は、所有期間によって異なる点にも注意しましょう。
それぞれの費用について、詳しく解説します。
譲渡所得税の税率は所有期間が5年以上かどうかで異なる
譲渡所得税の税率は、所有期間によって以下の2段階に分かれます。
| 区分 | 所有期間 | 税率 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% | 所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% | 所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5% |
短期と長期では税率がほぼ2倍違うため、譲渡所得が500万円のケースでは税額の差は約97万円にもなります。
ここで注意したいのが、所有期間の判定は「売却した年の1月1日時点」で行うという点です。実日数で5年を超えていても、税法上は短期扱いになるケースがあります。
たとえば、2021年1月に取得した物件を2026年2月に売却した場合、実日数では約5年1か月ですが、売却年の1月1日時点(2026年1月1日)ではまだ5年経過していないため短期譲渡となります。
この物件は2026年中に売っても短期扱い、2027年1月1日以降に売って初めて長期扱いに切り替わります。
国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 / 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
取得費は「買ったときの価格」とは限らない
取得費は「購入価格+取得時の諸費用」から「建物部分の減価償却累計」を差し引いて計算します。
土地は減価しませんが、建物は経年で資産価値が減るとみなされ、毎年一定額が減価償却されていく仕組みです。RC造マンションは法定耐用年数47年・定額法償却率0.022が適用され、賃貸用建物の場合は毎年「建物価額×0.022」が減価償却されていきます。
たとえば購入価格2,180万円のうち建物部分が1,090万円であれば、10年経過時点で減価償却累計は約240万円に達し、土地を含めた取得費は1,940万円前後まで目減りします。
これに気付かずに「2,180万円で買って2,340万円で売ったから売却益はわずか160万円」と思っていると、実際には譲渡所得が300万円を超えて膨らんでいた、というケースが起きやすいので注意してください。
売買契約書や仲介手数料の領収書、登記費用の請求書などが残っていない場合は、後述の概算取得費5%ルールを使うことになりますが、これは多くの場合大きく不利になる手段なので、まずは書類を揃える方向を最優先しましょう。
国税庁 No.3252 取得費となるもの / 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき(概算取得費)
譲渡費用には入れられるもの・入れられないものがある
譲渡費用として認められる代表的な項目は、仲介手数料、売買契約書の印紙代、測量費、立退料、解体費用などです。
一方で、修繕費・固定資産税の精算金・引越し費用などは譲渡費用に含めることができません。修繕費は「物件の価値を保つための支出」とみなされ、譲渡そのものに直接かかった費用ではないと判断されるためです。
固定資産税の精算金についても、税法上は売却代金の一部とみなされ、譲渡費用ではなく譲渡収入を構成する金額として扱われます。譲渡費用の積み上げが不十分だと譲渡所得が膨らみ税額が増えるため、漏れなく集計したい項目です。
投資用マンションの売却にかかる税金をシミュレーション

ここからは、実際に投資用マンションを売却した場合の税金をシミュレーションしてみましょう。
前提条件は以下のとおりです。
譲渡所得が316万円となるこの物件を、長期譲渡で売る場合と短期譲渡で売る場合で税額を比較します。
ケース①長期譲渡で売却した場合
所有期間が5年超で長期譲渡に該当する場合、税率は20.315%です。
手取り額は売却価格2,340万円から譲渡費用84万円と譲渡所得税64.2万円を差し引き、ローン残債等を考慮しない単純計算で約2,191.8万円となります。
ケース②短期譲渡で売却した場合
同じ物件・同じ譲渡所得316万円でも、所有期間が5年以下の短期譲渡に該当する場合、税率は39.63%に跳ね上がります。
手取り額は同様に約2,130.8万円となり、長期譲渡で売却した場合と比べて約61万円も手取りが減ります。「あと数か月待てば長期譲渡になる」という状況であれば、待つ価値が十分あることがわかります。
いずれも一般的な例示であり、実際の税額は減価償却の計算条件や個別の譲渡費用の計上状況、賃貸転用の経過によって変動します。
投資用マンションを売却した際の確定申告の進め方

譲渡益が出た場合、確定申告は義務です。売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間に、税務署へ確定申告書を提出します。
投資用マンションを保有している間も、家賃収入については毎年確定申告をしているはずですが、売却年は「不動産所得」に加えて「譲渡所得」の申告が必要となる点に注意してください。
必要書類は主に以下のとおりです。
- 売買契約書(購入時・売却時の両方)
- 取得費・譲渡費用の領収書
- 登記事項証明書
- 過去の確定申告書(減価償却累計額の確認用)
- 譲渡所得の内訳書
- 確定申告書 第三表(分離課税用)
- マイナンバーカード等の本人確認書類
譲渡損が出た場合でも、同年内に他の土地・建物の譲渡益がある場合は内部通算が可能です。投資用不動産同士の損益を相殺できる可能性があるため、複数物件を保有している方は申告しておくほうが有利になるケースもあります。
投資用マンション売却時の税金を節税するポイント

譲渡所得税を抑える基本は、譲渡所得そのものを小さくすることです。具体的には、以下の5つを押さえておきましょう。
- 長期譲渡まで待つ:5年超の長期譲渡に該当するタイミングまで売却を遅らせる。
- 取得費の漏れを防ぐ:購入時の諸費用(仲介手数料・登記費用・不動産取得税等)を取得費に含める。
- 譲渡費用を抜け漏れなく集計する:仲介手数料・印紙代・測量費・立退料などの領収書を揃える。
- 相続取得なら取得費加算の特例を検討する:相続開始(被相続人の死亡)の翌日から3年10か月以内(=相続税の申告期限の翌日から3年以内)の売却で、支払った相続税の一部を取得費に加算できる。
- 事業用資産どうしの損益通算を活用する:同年内に黒字物件と赤字物件を組み合わせて譲渡所得を相殺する。
国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 / 国税庁 No.2250 損益通算
【要注意】投資用マンション売却では3,000万円特別控除は使えない
「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」は、居住用財産(マイホーム)の売却に限定された特例です。
賃貸中の投資用マンションには適用できません。自分が一度も住んだことがない物件はもちろん、過去に住んでいて賃貸に転用した物件も、賃貸期間が長くなるほど居住用としての要件を満たしにくくなります。
「住んでいた期間がある」「家族名義で居住していた」といった理由だけでは控除の対象にならないので、安易に当てにしないようにしましょう。
投資用マンションの売却価格を把握することから始めたい方へ

ここまで税金の計算式や節税ポイントを見てきましたが、最終的な税額や手取りを見積もるには「今いくらで売れそうか」という売却価格の見立てが起点になります。
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投資用マンション売却時の税金に関するよくある質問

最後に、投資用マンションの売却税金で、実際に問い合わせの多い質問を整理しておきます。
義務ではありませんが、同じ年に他の土地・建物の譲渡益がある場合は内部通算ができるため、申告するメリットがあります。給与所得との損益通算や翌年への繰越控除は投資用不動産には認められていない点には注意してください。
所得税および復興特別所得税は、確定申告の期限である翌年3月15日までに納付します。住民税は確定申告の内容をもとに翌年6月以降、市区町村から納付書が届くか、給与天引き(特別徴収)で徴収されます。
個人とは税制が異なり、売却益は法人の益金として法人税・法人住民税・事業税の課税対象になります。個人のような分離課税ではなく、他の事業収益と合算して課税されるため、年度全体の損益で考える必要があります。詳細は税理士への個別相談を推奨します。
無申告加算税や延滞税が課されます。無申告加算税は、自主的に期限後申告した場合は5%、税務署の指摘後の場合は納付すべき税額に応じて15%(50万円以下)/20%(50万円超〜300万円以下)/30%(300万円超)が課されます(令和6年1月1日以降の法定申告期限分)。
意図的な隠ぺい・仮装があった場合は重加算税(無申告の場合40%)が課されることもあり、追徴課税の金額は本来の納税額を大きく上回る可能性があります。売却した翌年の申告期限は必ず確認しておきましょう。
売却自体は可能ですが、サブリース契約の解約条件や残存期間が売却価格や買主の意向に影響します。サブリース解約には数か月の予告期間が必要なケースもあるため、売却を本格検討する段階で管理会社へ事前確認をしておきましょう。
まとめ

投資用マンションの売却では譲渡所得税・印紙税・登録免許税・消費税の4種類が発生し、なかでも譲渡所得税の影響が大きく、所有5年(売却した年の1月1日時点で判定)を境に税率が20.315%と39.63%でほぼ2倍変わります。
取得費は減価償却で目減りして譲渡所得が膨らみやすく、譲渡費用にも含められないものがあるため、計算ミスには注意が必要です。譲渡益が出た場合は確定申告が必須で、譲渡損が出たときも他物件の譲渡益との内部通算で活用できる場合があります。
また、マイホーム向けの3,000万円特別控除は投資用には使えないため、その点も必ず押さえておきましょう。
【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令は2026年4月時点の情報に基づいており、今後改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。




