マンション売却ガイド

ワンルームマンション売却にかかる税金はいくら?種類・計算方法・節税のコツを徹底解説

ワンルームマンションを売却するときは、譲渡所得税を中心に複数の税金が発生します。投資用ワンルームは居住用不動産で使える「3,000万円特別控除」が原則使えないなど、居住用とは異なる税制上の扱いがあり、所有5年を境に税率が約2倍変わる点も見逃せません。さらに、取得費の減価償却や概算取得費5%ルールなど、税額そのものを左右する論点も多いため、売却前に全体像を押さえておくことが手取りを守る近道です。

本記事では税金の種類・計算方法・節税のポイント・確定申告の流れを順に整理します。

ワンルームマンション売却で発生する税金は大きく4種類

ワンルームマンション売却で発生する4種類の税金

ワンルームマンションを売却する際にかかる税金は、大きく4つあります。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 消費税

譲渡所得税が手取り額に最も影響しますが、それ以外の税金も契約や登記の場面で発生するため、合わせて押さえておきましょう。

国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

譲渡所得税|数十万〜数百万円

譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」に対して課される税金です。所有期間や物件の取得時期によって税率が変わり、ワンルームマンションの売却では数十万円〜数百万円規模になるケースが一般的です。

印紙税|200円〜48万円

印紙税は、紙の売買契約書に貼付して納める税金です。印紙税額は契約金額に応じて決まり、軽減措置の適用後は、契約金額が500万円超〜1,000万円以下で5,000円、1,000万円超〜5,000万円以下で1万円が目安です。一般的なワンルームマンションの価格帯では、おおむね5,000円〜1万円程度になります。なお、2027年3月31日まで「不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置」が適用されています。

近年は、紙の契約書ではなく電子契約で売買契約を締結するケースが増えています。電子契約には印紙税そのものが課されないため、印紙代を丸ごと節約できる点が大きなメリットです。仲介会社や買取業者によって対応状況は異なりますが、コストを抑えたい場合は電子契約に対応している会社を選ぶのが現実的です。

国税庁 No.7108 不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置

登録免許税|マンション1戸でおおむね2,000円

住宅ローンを利用して購入したワンルームを売却する際は、抵当権抹消登記が必要です。抵当権抹消の登録免許税は不動産1件につき1,000円で、ワンルームマンションの場合は土地と建物で2,000円が目安です。司法書士に手続きを依頼する場合は別途、報酬として1万円〜2万円程度がかかります。

消費税|免税事業者の個人なら売却代金にはかからない

消費税は、課税事業者でない個人が売主の場合、ワンルーム売却の代金そのものには課税されません。

投資用ワンルームの賃貸は消費税法上の「事業」に当たり、その建物の譲渡は本来は課税取引です。しかし、住宅の家賃は非課税売上で課税売上高に算入されないため、賃貸経営のみの個人オーナーは免税事業者に該当することが多く、結果として売却代金に消費税がかからないケースが一般的です。

一方、仲介手数料や司法書士報酬などには消費税が課税されます。また、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主や法人は課税事業者となり、建物部分の譲渡対価に消費税の納税義務が生じます。

消費税の詳細は「マンション売却で消費税はかかる?個人・法人・課税事業者別に徹底解説」を参考にしてください。

ワンルームマンション売却の譲渡所得税の計算方法

ワンルームマンション売却の譲渡所得税の計算方法

ワンルームマンション売却の譲渡所得税は、次の式で計算します。

譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

シンプルに見える式ですが、税率は所有期間で変わり、取得費や譲渡費用にも算入できるもの・できないものがあります。実際に手取りを左右するのはこの3要素のため、それぞれの考え方を整理します。

譲渡所得税率は所有期間によって異なる

譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間によって2段階に分かれます。

区分 所有期間 税率 内訳
短期譲渡所得 5年以下 39.63% 所得税30.63%+住民税9%
長期譲渡所得 5年超 20.315% 所得税15.315%+住民税5%
所有期間の判定は「売却した年の1月1日時点」

注意したいのは、所有期間の判定基準が「売却した年の1月1日時点」である点です。

たとえば2021年10月に取得し、2026年2月に売却した場合、実際の所有期間は4年4か月です。短期・長期の判定は売却した年の1月1日時点で行うため、2026年1月1日時点では所有期間4年3か月となり、短期譲渡(所有5年以下)に該当します。

同じ物件でも、2027年1月以降の売却に切り替えれば、2027年1月1日時点で所有期間が5年を超えるため長期譲渡となり、税率はほぼ半分です。短期と長期では税負担が約2倍変わるため、売却タイミングは1月1日基準で確認しましょう。

国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

取得費は減価償却で目減りする

取得費は「購入価格+購入時の諸費用」から、保有期間中の建物の減価償却累計額を差し引いた金額です。土地は減価償却の対象外ですが、建物部分は経年で帳簿上の価値が減るため、保有期間が長いほど取得費は小さくなります。

なお、購入時の契約書を紛失し取得費が分からない場合は「概算取得費=売却価格×5%」を使うこともできますが、実際の購入価格より大幅に低くなり、税額が数百万円規模で膨らむケースもあります。概算取得費5%ルールは最終手段と考え、まずは購入時の契約書・領収書・住宅ローンの償還表などを徹底的に探すことをおすすめします。

国税庁 No.3252 取得費となるもの

譲渡費用に含められるもの

譲渡費用には、売却のために直接かかった費用を計上できます。代表的なものは次のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書に貼付した印紙代
  • 測量費(土地境界の確定など)
  • 貸主都合で退去させた場合の立退料
  • 売却のために行った建物の解体費用

一方、保有期間中に支払った管理費・修繕積立金・固定資産税は譲渡費用に含められません。判断に迷う支出は領収書を残しておき、確定申告時に税理士へ確認するのが安全です。

国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの

ワンルームマンション売却の税金シミュレーション

ワンルームマンション売却の税金シミュレーション

実際にどれくらいの税額になるのか、保有期間が異なる2つのケースで税額を比較してみます。

共通の前提条件は、購入価格2,150万円・売却価格2,320万円・譲渡費用80万円とします。減価償却累計額は保有期間によって変わるため、ケースごとに設定します。

購入価格2,150万円
売却価格2,320万円
譲渡費用80万円
減価償却累計額保有期間によって変動(ケースごとに設定)

①長期譲渡で売却益が出た場合

所有10年・1月1日時点でも5年超とすると、税率は20.315%(長期譲渡)です。減価償却累計額を約148万円とすると、取得費は購入価格2,150万円−減価償却148万円=2,002万円。譲渡所得は、売却2,320万円−(取得費2,002万円+譲渡費用80万円)=238万円。

譲渡所得税 = 238万円 × 20.315% ≒ 約48.3万円

所有期間が長いほど取得費は減るため譲渡所得は増えがちですが、税率が低い分、税額は抑えられます。

②短期譲渡で売却益が出た場合

所有4年(1月1日基準で短期)の場合、保有期間が短い分、減価償却累計額は小さくなります。減価償却累計額を約60万円と仮定すると、取得費は購入価格2,150万円−減価償却60万円=2,090万円。譲渡所得は2,320万円−(取得費2,090万円+譲渡費用80万円)=150万円。

譲渡所得税 = 150万円 × 39.63% ≒ 約59.4万円

譲渡所得自体は小さくなるものの、税率が約2倍のため、税額は長期譲渡のケースを上回ります。所有期間が5年(1月1日基準)を超えるかどうかで税率が大きく変わる点を覚えておきましょう。

ワンルームマンション売却後の確定申告

ワンルームマンション売却後の確定申告の進め方

ワンルームマンションを売却した翌年は、譲渡所得の有無にかかわらず確定申告を検討する必要があります。譲渡益が出たケースだけでなく、複数物件を売却したケースなどでも申告が関係します。

申告が必要なケース・推奨されるケース

譲渡益が出た場合は確定申告が必須です。一方、譲渡損が出た場合の申告は義務ではありません。

なお、投資用ワンルームの譲渡損失は、給与所得や不動産所得(家賃収入)とは損益通算できず、翌年以降への繰越控除もできません。損益通算・繰越控除ができるのは居住用財産(マイホーム)の譲渡損失の特例に限られ、投資用ワンルームには適用されません。

ただし、同じ年に他の土地・建物を売却して譲渡益が出ている場合は、その譲渡益と損失を相殺できるため、複数物件を売却する年などは申告することで税負担を抑えられる場合があります。

なお、投資用ワンルームは保有期間中の家賃収入について毎年確定申告をしているのが通常のため、売却年も流れで申告する前提で動くとスムーズです。

必要書類と申告期間

確定申告の期間は、売却した翌年の2月16日〜3月15日です。主な必要書類は次のとおりです。

  • 売買契約書(購入時・売却時の両方)
  • 取得費・譲渡費用の領収書
  • 登記事項証明書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 本人確認書類・マイナンバー確認書類

国税庁 確定申告書等作成コーナー

ワンルームマンション売却の節税ポイント

ワンルームマンション売却の節税ポイント

ワンルームマンション売却の節税は、特例の活用だけでなく、税率の選び方や取得費・譲渡費用の整理で大きく差が出ます。代表的な4つの観点を押さえておきましょう。

①長期譲渡まで待つ

短期譲渡と長期譲渡では税率が約2倍違うため、可能なら所有期間が5年を超えるタイミングまで待って売却するのが基本の節税策です。所有期間の判定は売却年の1月1日基準なので、年末年始の売り急ぎは避け、契約日と引き渡し日を慎重に設定しましょう。

②取得費・譲渡費用を漏れなく計上

譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で算出されるため、取得費と譲渡費用を漏れなく拾い上げることが税額の圧縮に直結します。

購入時の仲介手数料は取得費に含められます。一方、購入時の登録免許税・不動産取得税・登記費用(司法書士報酬)は、投資用ワンルームのような賃貸用(業務用)資産の場合、購入した年の必要経費として不動産所得の計算上で控除する扱いとなり、譲渡所得計算上の取得費には含めません。

どの費用が取得費・必要経費・譲渡費用のいずれに当たるかは判断が分かれやすいため、購入時の契約書や領収書を揃えて、税理士に確認しながら整理しましょう。

③相続物件は取得費加算の特例を検討

相続で取得したワンルームマンションを、相続開始の翌日から3年10か月以内に売却した場合、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」が使えます。譲渡所得が圧縮され、譲渡所得税の負担を抑えられます。相続後の売却タイミングを検討中の方は、この期間を意識して動きましょう。

国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

【要注意】3,000万円特別控除は投資用のワンルームマンションには使えない

3,000万円特別控除は投資用ワンルームには適用不可

マイホーム売却で有名な「3,000万円特別控除」は、自分が住んでいた居住用財産を売却した場合の特例です。投資目的で購入し、自分が住んだことのないワンルームには適用できません。

一方、過去に自分が住んでいたマイホームを、転居後に賃貸へ出した物件の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、賃貸期間があっても3,000万円特別控除を適用できます。この期限を過ぎると対象外になります。

「ワンルームも3,000万円控除で税金がゼロになるはず」と思って売り急ぐと、想定外の譲渡所得税が手取りを圧迫するので、自分の物件が対象になるかを事前に確認しましょう。

国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

ワンルームマンション売却の税金を把握する第一歩は「売却価格」を知ること

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ワンルームマンション売却の税金に関するよくある質問

ワンルームマンション売却の税金に関するよくある質問

ワンルームマンション売却の税金で、相談現場で繰り返し聞かれる質問をまとめました。自分のケースと照らし合わせて確認してください。

Q赤字でも確定申告は必要ですか?
A

譲渡損が出た場合の申告は義務ではありません。投資用ワンルーム単体で譲渡損が出ても、その損失を給与所得や不動産所得(家賃収入)と損益通算したり、翌年以降に繰り越したりすることはできません。そのため、譲渡損が出ても申告による直接的な節税メリットは基本的にありません。

ただし、同じ年に他の不動産を売却して譲渡益がある場合は、損益を相殺できるため申告が有利になります。なお、投資用ワンルームは保有期間中の家賃収入について毎年の確定申告を続けているオーナーがほとんどなので、売却年も同じ流れで申告するのが現実的です。

Q税金はいつ払いますか?
A

所得税(譲渡所得税のうち国税部分)は確定申告期限である翌年3月15日までに納付します。住民税は申告内容をもとに自治体が計算し、翌年6月以降に納付書が届きます。納税資金を売却代金の中から取り分けておかないと、納税のタイミングで現金不足に陥りやすいので注意が必要です。

Q法人所有のワンルームの税金は?
A

法人が所有するワンルームの売却は、個人の譲渡所得税ではなく法人税の計算に含まれます。短期・長期の税率区分もなく、損益通算や減価償却の扱いも個人とは異なるため、税理士に相談しながら売却スケジュールを組むのがおすすめです。

まとめ

ワンルームマンション売却の税金のまとめ

ワンルームマンション売却にかかる税金は、譲渡所得税が中心で、印紙税・登録免許税・消費税が補助的に発生します。譲渡所得税の税率は所有5年(1月1日基準)を境に約2倍変わるため、可能な限り長期譲渡まで待つことが、最もシンプルで効果の大きい節税策です。

取得費の概算5%ルールに頼ると税額が膨らみやすいため、購入時の契約書や領収書を丁寧に揃えましょう。その際、購入時の登録免許税・不動産取得税などは賃貸用資産では取得費ではなく必要経費になる点に注意が必要です。また、3,000万円特別控除や譲渡損失の損益通算・繰越控除は、いずれも居住用財産向けの特例で投資目的のワンルームには使えません。売却前にまず、売却価格と税額をシミュレーションしておくと、手取りを取りこぼさずに済みます。

【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令は2026年4月時点の情報に基づいており、今後改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。

 

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