分譲マンション売却の流れ・費用・税金を徹底解説|住み替え・3,000万円控除も網羅【2026年版】

自宅として居住していたマンションの売却は、投資用とは異なり「居住用」ならではの税制特例(3,000万円特別控除など)が活用できます。住み替えを伴う場合は、売却と新居購入のタイミング調整が手取りと暮らしやすさに影響します。本記事では、流れ・費用・税金・住み替えの論点を順に整理します。
分譲マンションを売却する人が増加している理由

近年、分譲マンションの売却が増えている背景には、不動産価格の上昇局面と金利動向、ライフスタイルの変化があります。新築マンション価格の高騰により、中古マンションを希望する買主が増え、エリアによっては築15年前後の物件でも購入時より高く売れるケースも珍しくありません。
住み替えを契機に売却を検討する家庭、子どもの独立で住み替えを考える層、相続を機に売却するケースなど、動機は多様化しています。資産価値が高いタイミングを逃さないために、まずは現時点の売却価格を把握することが重要です。
分譲マンション売却の流れは7ステップ

分譲マンションの売却は、概ね次の7ステップで進みます。住み替えやローン残債がある場合は、各ステップでの判断が手取りと新居のスケジュールに直結します。
①スケジュールを立てる
売却の検討開始から決済・引渡しまで、仲介では6か月を目安としてスケジュールを立てましょう。住み替えを伴う場合は、新居の購入時期も含めた逆算が必要です。住宅ローンの繰上返済の申し出から実際の決済まで2〜4週間程度の余裕も必要なため、引渡し日を起点に逆算します。
②査定で価格を把握する
WEB査定であれば数十秒で大まかな価格水準が分かります。さらに精度を上げる場合は、複数社に訪問査定を依頼し、相場の上限・下限を把握しましょう。査定額の根拠(成約事例、エリア相場、物件特有のプラス要素)を聞き、論理的に説明できる業者を選ぶことが重要です。
③不動産会社を選ぶ
分譲マンションの売却では、エリア内のマンション成約実績、担当者の販売プラン、過去の事例を具体的に説明できるかが業者選びの基準になります。広告戦略の具体性、価格根拠の論理性、デメリットも正直に伝えてくれる姿勢といった定性面も合わせて確認しましょう。
④媒介契約を結ぶ
媒介契約は「一般」「専任」「専属専任」の3種類があります。複数社に依頼したい場合は一般媒介、1社に集中して動いてもらいたい場合は専任系を選びます。専任系は業者の動きが手厚くなる反面、原則として契約期間中の他社切替ができないため、業者選びを慎重に行う必要があります。仲介ではなく買取を選ぶ場合は、媒介契約を経ずに直接、買取業者と売買契約に進む流れになります。
⑤売却活動を行う
販売開始後は、購入希望者からの内覧対応、価格交渉、購入申し込みへの対応を行います。住みながら売却する場合は、清掃・採光・整理整頓を徹底し、内覧依頼に柔軟に応じる体制を整えましょう。空室にして売却する場合は内覧対応の負荷が下がる代わりに、家具のない空間で部屋の印象が伝わりにくいというデメリットもあります。ただし、物件によっては投資用物件としての出口も見込めるため、成約までのスピードや価格が上がる可能性もあります。
⑥売買契約を締結する
購入希望者と価格・条件が合意できたら、売買契約を締結します。重要事項説明、手付金の受領、契約不適合責任の範囲、引渡し時期などを契約書で明確化します。買主が住宅ローンを利用する場合、ローン特約により審査が通らなければ白紙解除になる点も契約段階で確認しておきましょう。一方、投資用物件として売却する場合は住宅ローン特約が付かないため、停止条件のない契約であればスムーズに契約まで進むケースもあります。
⑦決済・引渡しを行う
決済日には、残代金の受領、抵当権抹消登記、所有権移転登記、固定資産税の日割り精算、鍵の引き渡しを同時に進めます。司法書士が立ち会い、金融機関の応接室などで実施するのが一般的ですが、立ち会い不要で売却を進めることも可能です。
分譲マンション売却の2つの方法の違い

分譲マンションの売却方法は、大きく「仲介」と「買取」の2つに分かれます。スピードと価格のどちらを重視するかで使い分けます。
仲介|市場価格を狙う場合
仲介は、不動産会社が買主を探して市場価格で売却する方法です。期間は3〜6か月が目安。市場相場に近い金額を狙える反面、買主が見つかるまで時間がかかり、内覧対応の負荷もあります。住宅ローン残債の返済スケジュールに余裕がある場合や、相場価格を重視する場合に向いています。
買取|早期現金化したい場合
買取は、不動産会社が直接買い取る方法です。1〜4週間程度で決済まで進められ、内覧対応も不要です。価格は再販コストや販管費を見込んで設定されるため市場相場より低くなりますが、確実性とスピードを重視する場合に有力な選択肢になります。住み替えのスケジュールが厳しい、ローン返済を急ぎたいといった事情がある場合に向いています。
分譲マンションを売却する際の不動産会社の選び方

不動産会社の選び方は、売却の成否を大きく影響します。次の3つの観点で見極めましょう。
マンション特化の成約実績と管理体制を確認する
同じエリアでのマンション成約実績、過去の売却事例、担当者のマンション売却経験などを確認しましょう。建物の管理状態や資産価値を正しく買主にアピールできる業者は、結果的に高値での売却を狙いやすくなります。マンションの管理組合や修繕履歴に関する知見があるかも判断材料です。
査定価格の根拠をチェックする
査定価格そのものではなく、その根拠が論理的に説明できるかが重要です。最新の市場データ、同エリアの成約事例、物件特有のプラス要素(眺望・角部屋・リフォーム履歴など)を踏まえて価格を出している業者は信頼できます。逆に、根拠が薄いまま高額査定を出す業者は、媒介契約獲得が目的となっているケースがあり、その場合、実際の売却価格は当初の媒介時の金額よりも下がってしまう可能性が高い点に注意が必要です。
広告戦略の具体性を見極める
販売活動の具体的なプランを提示できる業者を選びましょう。広告媒体、写真の撮り方、マイソク(図面)の作り方、内覧の段取り、価格戦略など、「どうやって買主を見つけるか」を具体的に説明できる業者は、実際の販売活動でも結果につなげてくれる可能性は高くなります。
分譲マンションを高く売るコツ・タイミング

居住用分譲マンションを高く売るには、需要期に合わせた準備と、物件の魅力を伝える工夫が効果的です。3つの具体的なコツを解説します。
11月〜12月から準備を始める
1〜3月の新生活シーズンは、買主が最も増えやすいピーク時期です。このタイミングで成約を狙うなら、前年の11月〜12月から査定・媒介契約の準備を始め、12月〜1月には販売活動を開始しているのが望ましいです。準備不足のまま2〜3月に動き出すと、ピーク需要を取り逃がす可能性があります。
管理状態を証明できる資料を揃える
分譲マンションでは、管理状態の良し悪しが資産価値や買主の安心感を左右します。管理の良さは口頭では伝わりにくいため、客観的な資料で示すことが、必要以上の値引き交渉を抑える材料になります。
長期修繕計画書、修繕積立金の積立状況、過去の大規模修繕の履歴、管理費・修繕積立金の滞納状況などを、売却前に揃えておきましょう。
プロによる撮影でクリック率を高める
居住用マンションの売却では、ポータルサイトのクリック率が問い合わせ件数に比較的直結します。プロのカメラマンによる写真撮影や、ホームステージング(家具やインテリアを配置して魅力的に見せる手法)を取り入れると、競合物件との差別化が図れます。撮影費用は数万円〜十数万円ですが、売却価格への影響を考えると費用対効果は高いケースが多いです。
分譲マンション売却にかかる費用と税金

分譲マンション売却にかかる主な費用と税金を整理します。手取り額を試算する際の参考にしてください。
仲介手数料|売却価格の3%+6万円+消費税
仲介手数料の上限は、売却価格400万円を超える場合「売却価格×3%+6万円+消費税」で計算します。売却価格3,000万円なら、3,000万円×3%+6万円=96万円、消費税込みで105.6万円が上限です。仲介ではなく直接取引であれば仲介手数料はかかりません。
印紙税・登録免許税
売買契約書には印紙税が課されます。売却価格に応じて200円〜48万円程度で、2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。電子契約で締結する場合は印紙税が不要です。ローンを利用していた場合、抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円で、マンションは建物と土地で通常2,000円〜。司法書士に依頼する場合は報酬として別途1〜2万円程度が必要です。
譲渡所得税|居住用なら3,000万円特別控除
居住用マンションを売却し譲渡益が出た場合でも、「3,000万円特別控除」を使うことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。多くのケースで譲渡所得税を大きく抑えられる、強力な特例です。ペアローンで購入した夫婦共有名義の物件であれば、夫婦それぞれが3,000万円特別控除を受けられる可能性があり、合計で最大6,000万円の控除になります。共有名義の場合は、適用要件と申告方法を税理士に確認するのが安全です。
分譲マンションを売却して住み替える方法

住み替えを伴う売却では、売却と新居購入の順序によって、資金計画と暮らしやすさが変わります。3つのパターンを整理します。
売り先行の場合|売却を済ませてから購入
売り先行は、現在の住まいを売却してから新居を購入する方法です。売却代金が確定するため資金計画が立てやすく、二重ローンのリスクもありません。
一方、決済から新居入居までの間に仮住まいが必要になるケースが多く、引っ越しが2回発生する手間とコストが発生します。資金計画を堅実に進めたい方に向いています。
買い先行の場合|新居を購入してから売却
買い先行は、新居を購入してから現在の住まいを売却する方法です。住み替えがスムーズに進む反面、現在の住まいのローンと新居のローンが一時的に重なる「二重ローン」のリスクがあります。売却が長引くほど資金繰りが厳しくなるため、現在の住まいの売却見込みがある程度立っていることが前提になります。
同時決済の場合|売却と購入を同日に行う
同時決済は、売却と購入の決済を同じ日に行う方法です。仮住まいも二重ローンも不要で理想的に見えますが、実務上は、買主の決済スケジュール、売主としての新居引渡し日、住宅ローンの実行日をすべて揃える必要があり、現実的には実現できないケースが多いです。
複数の不動産を所有していて資金繰りに余裕があるごく一部の層を除けば、「売ってから買う(売り先行)」か「買ってから売る(買い先行)」のどちらかで検討するのが現実的な選択です。
分譲マンションを売却する際の注意点

住み替えを伴う売却で、見落としやすい注意点を3つ整理します。
3,000万円特別控除の適用要件を確認する
3,000万円特別控除には、居住していた事実、売却までの居住期間、買い替え特例との併用制限、過去の特例適用履歴など、複数の要件があります。特に「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という期限があるため、一度賃貸に出した後の売却ではタイミングに注意が必要です。
住み替えのタイミングは慎重に検討する
買い先行で住み替えを進める場合、現在の住まいの売却が長引くと二重ローンが家計を圧迫します。売り先行なら仮住まいの家賃と引っ越し2回分のコストがかかります。資金繰り、家族のライフイベント(子どもの進学・転校)、希望物件の出物のタイミングなど、複数の要素を組み合わせて判断しましょう。
売却後にローンが残る場合の対応
売却代金で住宅ローンを完済できる場合(アンダーローン)は問題ありませんが、売却代金がローン残債を下回る場合(オーバーローン)は、自己資金で差額を補填する必要があります。事前に金融機関へ残債を照会し、繰上返済手数料も含めた手取りシミュレーションを行いましょう。住み替えの場合は、新居のローンと併せて返済する「住み替えローン」を利用できる金融機関もありますが、借入額が大きくなる分審査は厳しめです。
分譲マンション売却の第一歩は「価格を知ること」から

分譲マンションの売却計画は、現時点での売却価格の目安が分からないと具体的に立てられません。
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分譲マンション売却に関するよくある質問

分譲マンション売却に関して、相談現場で繰り返し聞かれる質問をまとめました。
可能です。多くの方が住みながら売却を進めています。内覧対応の手間はありますが、生活感を残しつつ清掃・整理整頓を徹底することで、買主の印象を保ったまま売却できます。空室にしてから売る場合と比べて、家具のある状態の方が部屋の使い方や広さが伝わりやすいというメリットもあります。
仲介で3〜6か月、買取で1〜4週間が一般的な目安です。ここでいう期間は、査定開始から決済・引渡しまで。買主との売買契約から決済までは1〜2か月かかるため、住み替え先の入居スケジュールを組む際は、契約日ではなく引渡し日を基準に逆算しましょう。
譲渡益が出た場合は原則必要です。3,000万円特別控除を使って譲渡所得税がゼロになる場合でも、特例の適用には確定申告が必要です。ペアローンで購入した夫婦共有名義の物件であれば、夫婦それぞれが3,000万円特別控除を受けられる可能性があり、その場合は夫婦それぞれが確定申告を行います。確定申告の期間は売却した翌年の2月16日〜3月15日です。
まとめ

分譲マンション売却は、居住用ならではの3,000万円特別控除を中心に、税制特例を活用できる点が投資用との大きな違いです。仲介と買取の選択、売り先行と買い先行の住み替え方針、価格設定や販売戦略といった判断は、業者任せにせず自分で握ることで手取りを最大化が狙えます。同時決済は理想に見えて実務上はほぼ実現できないため、売り先行か買い先行のどちらかを選び、資金繰りと家族のスケジュールに合わせて動きましょう。
まずは現時点の売却価格の目安を把握し、税金・諸費用を差し引いた実質手取りで判断を進めるのが、後悔しない売却への近道です。
【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令は2026年4月時点の情報に基づいており、今後改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。




