2017.02.15
不動産業者に、マンションの売却や購入の仲介を依頼する際に行う媒介契約。マンション売却の媒介契約には、さまざまな書類が必要になります。また、買い手が決まってからの売買契約以降にも複数の書類の準備が必要で、それらを用意するために時間を取られてしまうということも。
購入希望者が現れていざ契約となったときに慌てないためにも、売却を思い立ったらまず必要な書類を集めてしまいましょう。マンション売却の契約に必要な書類をご説明します。
契約の際に必要な書類
書類には、媒介契約を結ぶときに必要になるものと、購入希望者が現れて価格交渉などを済ませ、売買契約を結ぶときや、引き渡すときに必要になる書類があります。それぞれ以下の通りです。
媒介契約を結ぶときに必要な書類
・身分証明書
・実印
・登記簿謄本
・売買契約書
・重要事項説明書
・土地測量図・境界確認書
・図面や設備の仕様書など
・固定資産税納税通知書
・マンションの維持費等の書類
・マンションの規約
これらをもとに媒介契約を結び、不動産業者が物件の広告や資料などを作ってくれます。このときの資料は正確なものを提出しましょう。
売買契約以降に必要な書類
(売買契約書を締結するときに売主が用意するもの)
・身分証明書
・実印
・印鑑証明書(3カ月以内に発行したもの)
・住民票(3カ月以内に発行したもの、売却不動産の住所と現住所が違う場合)
・銀行口座の通帳(売買代金を振り込んでもらうため)
・ローン残高証明書(住宅ローンを利用の場合)
(物件引き渡しの際に、買主に渡すもの)
・登記済権利書
・建築確認済書及び検査済書、建築設計図書、アスベスト検査書など
・その他の書類(物件の設備に関する説明書、重要事項説明書、購入時のパンフレットなどの資料)
媒介契約を結ぶときに必要な書類について
(1)登記簿謄本
登記簿謄本とは、「登記事項証明書」とも呼ばれます。不動産に関連する情報が記載されており、法務局で誰でも取得できます。自身で用意する時間がない場合は、仲介業者の担当者に依頼しましょう。
(2)売買契約書
不動産を購入した際に締結した契約書です。物件の状況や特約がないか等について確認するために用意します。
(3)重要事項説明書
こちらも不動産を購入された際に取得する書類です。売却するに関し、告知すべき事項があるかどうかを確認します。
(4)図面や設備の仕様書など
物件の間取りや設備に関する情報を確認するための仕様書です。ニーズの高い設備などが設置されている場合には、販売図面に記載することで物件の売りポイントにもなります。
(5)固定資産税納税通知書
物件に関する固定資産税の額を知るために必要です。また、移転登記に必要となる登録免許税を算出するためにも必要です。固定資産税は毎年1月1日時点での所有者に課税されるため、不動産を売却する場合は、代金の精算時に買主と決済日を基準に精算します。その費用を算出するための根拠となる資料にもなります。
(6)マンションの維持費等の書類
マンションの管理費、修繕積立金などの維持費を確認します。固定資産税と同じように、マンションの管理費や修繕積立金も、決済日を基準に買主と売主で精算することになります。
(7)マンションの規約
ペットの飼育ができるかどうか等、マンションの住人が守るべき規約が記されている書類です。
売買契約締結の際に注意すべきポイント
売買契約締結の際に、不動産業者立ち会いのもとで、重要事項説明書を確認します。その際に注意すべきポイントをご紹介します。
(1)売買物件の表示
売却物件の表示に誤りがないかを確認します。
(2)売買代金、手付金等の額、支払日
売買代金や買主の支払日、手付金について書くにしておきましょう。手付金については、何かが起こり売買契約がキャンセルになったときにトラブルになりやすいので、その取り扱いをしっかりと確認しておきましょう。
(3)所有権の移転と引き渡しの時期
買い手の引っ越しや引き渡し可能なスケジュールを書くにして、引き渡しの時期に問題がないか判断しましょう。
(4)付帯設備等の引き継ぎ
中古マンションの場合は、室内の照明やエアコンなど付帯設備等の引き継ぎをめぐるトラブルは多く発生します。細かなところに故障がないかどうかも確認しておきましょう。
(5)負担の消除
投資用物件の売買では、テナントとの賃貸借契約のみを買主に引き継ぎます。この場合は引き継ぐ権利と引き継がない権利を明確にしなくてはいけません。。
(6)引き渡し前の物件の滅失・毀損(きそん)(危険負担)
天災で建物が全壊するなど、売買契約締結後に売主にも買主にも責任のない理由によって売却物件が損害を受けた場合について取り決めます。
(7)瑕疵担保(かしたんぽ)責任
売買物件に意図しない欠陥などが発覚した場合、売主は物件の修補や損害を賠償する義務を負います。こうした瑕疵をめぐるトラブルは非常に多いため、しっかりと契約内容を確認しましょう。
不動産を引き渡す際に買主に渡す書類
続いて、不動産の引き渡しの際に買主に渡す書類です。
(1)登記済権利
登記済権利書は、その物件の所有者が売主であることを証明するための書類です。物件を購入した際に、法務局から発行されます。売却の際は、移転登記をすることによってその物件の所有権が買主に移ったことが証明されます。
(2)その他の書類(購入時の契約書・重要事項説明書、販売時のパンフレットや広告等)
設備の取り扱い説明書など、今後必要となる物件に関する書類一式も、物件のカギとともに新しいオーナーに引き渡します。この引き渡しが済んで、晴れてマンションの売却は終了です。
登記の移転に時間がかかってしまうケースに注意
不動産の売却の際には、登記の移転という手続きが必要です。登記の移転は売主と買主が協力して行います。買主に比べて、売り手はより手続きが大変です。買主は住民票と三文判を用意すればOKですが、買主は上述したように実印と印鑑証明が必要です。この手続きは不動産会社と司法書士さんに依頼することがほとんどです。
その場合、司法書士の指示に従い、必要な書類を用意します。中には、登記に時間がかかってしまうケースがあります。該当する場合は早めに準備を進めないと、買主に迷惑がかかってしまいます。
(1)転勤が多く住所変更手続きが完了していないケース
転勤などの理由で登記住所と今の住所が違う場合は、最初に登記された住所から今の住所までつながる公的書類(住民票の除票)が必要になるため、作業に時間がかかります。さらに海外転勤をしていた場合は、各大使館などで在留証明を発行してもらわなくてはいけません。
(2)登記簿謄本の住所氏名と売主の住所氏名が一致していないケース
相続などで不動産を取得した場合、相続登記がされていないケースです。そうしたケースでは、相続登記を完了してからでないと不動産の売却ができません。相続登記には、遺産をもらう権利のある人全員との遺産分割協議書・それぞれの実印・戸籍謄本が必要となります。相続関係は親戚などとのもめ事も多く、時間がかかる場合もあります。物件の売却を予定している場合は、早めに準備しなければなりません。
抵当権抹消の手続きについて(住宅ローンを利用している場合)
銀行から住宅ローンを利用して購入した物件は、抵当権が設定されています。抵当権とは不動産を借り入れの担保として押さえた証拠といえます。
家を売る際は当然住宅ローンの残債をゼロにしないといけません。借入金を返し終わったら抵当権はなくさなければならないため、借り入れた銀行から抵当権抹消手続きの書類を発行してもらい、抵当権を抹消します。
このような抵当権抹消は、原則として残金決済までに手続きをおえておく必要があります。費用は不動産1件につき1000円です。加えて、司法書士に依頼する場合、1万円ほど依頼料がかかります。
おわりに
このように、不動産の売却には多くの書類が必要で、行き当たりばったりではいきません。準備が遅れると買い手にも迷惑がかかってしまうことがあるため、できるだけ手続きはスムーズに進めたいもの。書類は不備がないように、きちんと事前にそろえておきましょう。
マンションの売却は、普段の生活野中で頻繁に行われるものではありません。慣れない手続きで重要となるのは、パートナーとなる不動産業者です。売買契約書などの書類も業者が作成するので、信頼のおける対応の早い不動産業者に依頼するのがおすすめです。