2017.02.20
都心では現在、 2020年の東京オリンピックの開催に合わせて道路や街づくりなどのインフラ整備が進み、再開発が行われているエリアも数多く存在します。それにともなってマンションを中心とした不動産価値は上昇し、今がマンションを売り抜けるタイミングともいわれています。
今回は、現在上昇傾向にある2008年に起こった リーマン・ショック以降のマンション売却市場についてご紹介します。
リーマン・ショックとは
アメリカで起こった 大手銀行の破綻、それによって世界同時不況が起こった2008年のリーマン・ショック。当時アメリカの大手銀行であったリーマン・ブラザーズが「サブプライムローン」と呼ばれる低収入層に向けた住宅ローンによって、64兆円ともいわれる大規模な損失を計上し、事実上の破産へと追い込まれました。
その影響は日本を直撃し、行き場をなくした世界の投機マネーが日本へと集まったことで、日本経済は 超円高・株安へと転じました。このような不況は金融機関の融資を停滞させ、マンション売買を始めとした不動産業界もまた大きな打撃を受けることになりました。
リーマン・ショックによってマンション価格が暴落して以降、マンション価格は徐々に回復し、現在では、 マンションのプチバブルと呼ばれるほどマンション売却市場は盛り上がりを見せています。
リーマン・ショック以降の売却市場
リーマン・ショック以降、徐々に回復し始めた景気とともに、首都環境の整備による地価の上昇、住宅ローン減税や日銀によるマイナス金利政策による住宅ローン金利の引き下げなど、引き続きマンションを購入しやすい状況は今後も継続すると予測されています。外国人投資家からのマンション投資の勢いも手伝って、マンション売買のプチバブルはもうしばらく続くでしょう。
しかしこのマンション価格の上昇率も、徐々に勢いを失いつつあります。この傾向は2016年始めの株価の下落や2015年頃から徐々に増えているマンション在庫などが影響していると考えられます。
2020年問題
2020年問題とは、広くはオリンピックの開催時期である2020年以降全国的に人口の減少が始まり、人口の増加を前提とした社会保障制度の運営が困難になるという問題や、不動産価値の暴落といった問題をさします。
東京オリンピックを見据えた好景気の波は、開催後その反動によって不景気に見舞われることが予想され、失業者の増加も懸念されています。
また東京都都市整備局が中心となって開催された 「マンションの2020年問題」についての審議会の答申では、2020年以降不動産価値は暴落するというという予測が発表され、業界に大きな波紋を呼んでいます。
総務省の調査によると、東京の 空き家の数は全国で最も多く、現在はオリンピック効果によって東京への人口流入が続いていますが、この流入は2020年以降減少に転じるといわれています。
オリンピックによってもたらされた 好景気は2020年にピークを迎え、その反動から日本は不景気へと転じ、人口の減少で単身者向けマンションの需要は先細ることも考えられます。2020年以降、単身者向けのワンルームマンションは新たな需要を発掘する必要に迫られることになるかもしれません。
またバブルの頃にマンションを購入した 団塊層がオリンピック後には70代に突入し、マンション売却が増加して空き物件が増え、マンションの市場価値そのものが低下するとも考えられます。中には、オーナーの高齢化によるマンションの管理機能の低下によってスラム化を引き起こすのではと予測する声も上がっています。
このようにオリンピック後のマンションの売却市場は、人口減少や高齢化、オリンピック景気の反動などさまざまな理由から不動産価格が下落することが考えられるため、今から対策を考えておく必要があります。
おわりに
リーマン・ショック後、大きく値を下げたマンション価格。
現在2020年にオリンピックを控えている都心では、マンション価格は上昇を続けています。
しかし2020年以降は日本の人口そのものの減少が始まり、全国的に高齢化が加速します。景気の低下や雇用の減少により東京への人口流入もオリンピック後は減少すると考えられ、マンション売却市場の動きは鈍化していくでしょう。
マンションオーナーは、この問題に対して早めの対策を練る必要があります。