2017.02.11
マンションを売却する際に、まず身に付けたいのが物件を売却する際の相場観。
相場観とは、周辺エリアの利便性や築年数、間取りなど、物件の持つ特徴から見た客観的な市場価値のことを指します。マンションを売却する際、この相場観を持っていないと適正な価格設定ができず、結果的に買い手が付かないまま不本意な値下げ交渉に応じるはめに…ということも。
今回は、買取によるマンションの売却で損をしないために、中古マンションの相場を調べる方法についてご紹介します。
相場の手がかりとなる不動産広告
「相場観」を養うときにまず、近隣の不動産広告を参考にするという人も多いでしょう。しかし、「長期間売りに出ている物件」「よく目に留まる物件」の価格を見るには少し注意が必要です。
不動産の売買では、良い物権ほど早く買い手が付き、広告から姿を消してしまいます。
長く広告掲載が続いている物件や、売り出し期間が長い物件はなかなか買い手が付かず、その分価格を下げている可能性もあるため、相場観を養う場合にはあまり適切ではありません。売却を考えているマンションと似たエリアや特徴を持つ物件の広告にたくさん目を通し、おおまかな相場観を身に付けましょう。
また、不動産業者に直接物件を買い取ってもらう「買取」の場合は、「仲介」による買主を見付ける手間や販売期間がなくなる反面、不動産業者の買取金額は、多くの場合仲介よりも20%~40%ほど安くなる傾向にあります。
買取によってマンションを売却する場合、仲介の場合との販売価格の差があることにも注意が必要です。
Web上の簡易査定サービスを利用
マンションの相場を知る際に役立つのが、不動産業者がWeb上で行っている簡易査定サービスです。
築年数や間取り、エリアなどを入力するだけでマンションのおおまかな査定ができる簡易査定サービスは、自宅にいても簡単にマンションの査定が得られるため、マンション売却を考える際にまず利用すると良いでしょう。業者によって査定金額はさまざまですが、だいたいどのくらいの金額が見込めるのかの目印となります。
またこの簡易査定サービスをもとに、買取業者を選ぶこともできます。
簡易査定サービスで査定を出した不動産業者の中から何社かをピックアップし、実際にメールや電話で問い合わせをしてみましょう。売却に関しての情報提供や丁寧な対応、迅速な対応をしてくれる業者や、査定額を高く出した業者を数社ほどしぼり、実際の査定へとステップをすすめるのが、マンションの売却で後悔しないための1つのポイントです。
国土交通省の出す「土地総合情報システム」
物件の相場を知るための3つ目の方法は、国土交通省の出す土地総合情報システムを利用することです。この土地総合情報システムでは、実際に行われた不動産の取引価格や土地の標準値の価格などが確認できます。
中古マンションの不動産取引価格情報では、駅からかかる時間や間取り、築年数や構造なども見ることができるため、売却を考えているマンションのエリアをしぼった上で検索をかけ、条件が近い物件の取引価格を相場の参考にすると良いでしょう。
信頼できる営業担当者からの情報提供
マンションの売却を成功させるためには、専門的な知識を持った信頼できる営業担当者の協力が必要不可欠です。マンションを売却する際の相場もまた、さまざまな物件の売買にかかわる営業担当者であれば、エリアの情報にも精通し、物件の相場にも知見があります。
不動産業者を選定する際に、営業担当者に周辺エリアの状況やマンション市場、物件のトレンドなどについて訪ね、実際の相場価格にどのような根拠があるのかを確認しておくと、売却のタイミングを判断する際にも役立つかも知れません。
相場について客観的な事実をきちんと伝えてくれた上で査定価格や売却価格の交渉を行ってくれる営業担当者であれば、安心して取引を行うことができるでしょう。
しかし、買取によってマンションを売却する場合、実際に物件を買い取るのは不動産業者です。
買取の場合、不動産業者は買い取った物件にリフォームなどで手を入れ新たな購入者に売却します。そのため仕入れとなる物件の価格は仲介での価格に比べて安くなる傾向にあります。不動産業者によってはリフォーム方法などを工夫することでマンションの価値を上げ、高値で買い取ってくれる場合もあるので、より良い不動産業選びや営業担当者を選ぶよう心掛けましょう。
マンション売却の価格設定は計画的に
いざ相場が把握できても、実際の売却価格には相場と大きく離れる場合があります。
相場はあくまでも、一定の条件のもと算出された平均的な物件の価格なので、売却を考えている物件の詳細次第では価格を落とさなければならないこともあるのです。
仲介での価格設定
仲介による売却だと、平均的に、マンションが最初の設定価格で高く売れるのは最初の3カ月が勝負といわれています。なぜ3カ月が目安になるかというと、不動産仲介業者との契約期間は一般的に3カ月であり、それを過ぎると契約を更新します。その3カ月を過ぎると、売れ残り物件と認識されて内覧の申し込みも少なくなるため、最初の3カ月が過ぎると、さまざまな対策が必要となります。
マンションを売り出すときに売主を悩ませるのが、「値下げ」のタイミングです。値下げなどせずに、初めに売り出した価格で売ることができれば、それに越したことはありませんが、3カ月が過ぎると価格の見直しが必要となってきます。
マンション売却時の値下げには、大きく分けて2種類あります。
1つは、「売り出し価格の値下げ」です。広告などに掲載している売り出し価格を下げます。ちょっと高いな…と購入をためらっている方がいるような場合には有効ですが、実際に売買交渉に入った時に、「この物件は売れないから値下げした」と思われてします可能性があります。
一方、売り出している物件の購入希望者が現れて、実際に具体的な売買交渉に入ったときに値下げするケース。売主の希望の売値と、買主の希望の購入価格とをすり合わせながら、合意できる価格を探ります。この交渉時の値下げは、「お得感」が増して購入希望者の決心を後押しするのに効果的です。
買取での価格設定
買取でのマンション売却は、「物件をすぐに現金化できる」「早期にマンション売却が成立する」「瑕疵担保責任を免れる」などのメリットがある反面、仲介に比べて売却金額が安くなる傾向にあります。
そんな買取でのマンション売却では、売却を考えているマンションの客観的な市場価値を正しく把握し、その上で価格を設定する必要があります。
また、仲介で契約したのち、売れずに残ってしまったため買取に切り替えることもありますが、仲介契約をしていた不動産業者にそのまま買取を申込むのは得策とはいえません。
この場合、必ずあらためて複数の業者の査定を受け、比較し、適正な価格で買い取ってもらいましょう。
おわりに
マンションの売却で損をしないためには、行き当たりばったりではなく「物件のおおよその相場を知る」「値下げを含めた価格戦略をきちんと考える」といった事前の準備が重要です。売り出し価格の設定を間違ってしまうと、なかなか買い手がつかない原因になる可能性があります。不動産売却を検討するときは、価格や戦略面でのアドバイスが上手で、売却のパートナーになってくれる良心的な業者を選ぶようにしましょう。