基礎知識

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メリット・デメリットは?マンションを売却するときの買取と査定(仲介)の違い

2017.02.03

メリット・デメリットは?マンションを売却するときの買取と査定(仲介)の違い

マンションを手放すとき、取引方法として買取業者に直接物件を買い取ってもらう「買取」と、買主を探して仲介手数料を支払う「仲介」の2種類があります。それぞれについてはメリットもあればデメリットもあります。また物件の条件や売主側の状況によっても、どちらを選ぶべきか異なってきます。

今回は、この「買取」と「仲介」の違いについて紹介します。

「買取」は売却期間は短いが価格は安くなりやすい

不動産の「買取」とは、マンション等の物件を直接不動産買取業者に売却することをいいます。この場合、物件を売却するための広告掲載や宣伝活動は行う必要はありません。

通常は不動産業者と媒介契約を結んだあと、広告を出して買主を探します。しかし、買主がすぐに見つかるとは限らないので、売却までは数カ月~1年ほどかかることもあります。

一方、買取では、売り先を探す必要がないので、売却先の不動産業者との間で価格が決まればすぐに売却することができます。多くの場合、2週間~1カ月程度で取引が完了します。

「早く不動産を現金化したい」という方や、「人に知られないように物件を売却したい」という方は、買取を選ぶことが多いようです。

また、買取の場合、物件のオーナーは業者に売却することで瑕疵担保責任(一定期間内に故意ではない物件の故障があった場合、売主がその責任を負い、修繕費用を出さなくてはならない)を免れます。築年数が古い物件の場合、破損などの物件にかかわる責任を担保するリスクが発生するので、買取のほうが向いているといえるでしょう。

さらに、買取の場合、不動産仲介での取引の際に発生する「不動産仲介手数料」もかかりません。


一方、不動産を買い取った業者は、購入した不動産をリフォームしたのちに新たな買主に売却するので、仕入れ値である物件の価格を安く抑えたいと考える傾向にあります。

この価格の低下を抑えるためには、市場価格の状況や売却のタイミング、物件の魅力をしっかりと査定担当者と共有しておく必要があります。

「仲介」は価格は高くなりやすいが売却期間は長め

一方「仲介」の場合、不動産業者は新聞の折り込みチラシやネット上に物件情報を掲載して、買主を探します。そのエリアに強い業者の場合、すでに売却したいマンションのニーズに合った見込み顧客をもっている可能性もありますが、ほとんどの場合は一から購入希望者を探すので、短期間での売却の可能性は低くなります。この場合、だいたい、3~6カ月は期間を見ておいた方が良いでしょう。

仲介での売却価格は、査定価格を参考に市場価格も加味しながら決定するので、売主側も納得できる価格で売却できます。ただしこの場合には、オーナーには瑕疵担保責任が生じます。

取引成立時には、不動産業者に対して仲介手数料を支払うので、売却した金額からそのコストを引いたものが、オーナーの手取りになります。

「買取」と「仲介」の選択はケースバイケース

以上のように、買取と仲介にはそれぞれ異なる特徴があります。そんな買取と仲介は、以下のようなケースにおすすめです。

買取

・短期間で売却したい

・人に知られずにマンションを売却したい

・建物の築年数が古く、瑕疵担保責任が発生するリスクがある

・不動産売却にかかる経費を節約したい

仲介

・売却期間に余裕があり、納得できる価格で売却したい

・売り先を自分で選びたい

・築年数が浅いなど、物件の価値が高い

不動産仲介、3つの形態のポイント

不動産仲介には、大きく分けて「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」3つの契約形態があります。こちらもそれぞれメリットとデメリットがあり、物件の条件や売主側の状況によって選ぶべき契約が変わってきます。

「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」それぞれのポイントは以下のとおりです。

一般媒介

・売主は複数の不動産会社に同時依頼が可能

・売主が自分で見つけた購入希望者(知人や親戚など)と不動産業者を通さず直接契約できる

・不動産会社側には、業務報告や不動産指定流通機構(通称レインズ)に物件情報を登録する義務を負わない

・不動産会社側は売主に業務報告をする義務を負わない
・他にどのような業者と契約しているか明らかにする「明示型」と、契約先を明かさない「非明示型」がある

専任媒介

・売主は複数の不動産会社に同時依頼してはいけない

・売主が自分で見つけた購入希望者であれば、直接契約してもOK。

・不動産会社は売主に対し、2週間に1回以上業務報告をしなくてはならない。

・不動産会社は7営業日以内にレインズに物件の情報を登録しなくてはならない。

・契約の有効期間は3カ月間

専属専任媒介

・売主は他の不動産会社に依頼してはいけない

・売主が自分で見つけた購入希望者であっても、業者を通さずに直接契約できない

・不動産会社は1週間に1回以上売主に業務報告しなければならない

・不動産会社は5営業日以内にレインズに物件情報を登録しなければならない

・契約の有効期間は3カ月間

物件の特徴によって契約形態を分けて

3つのうち、仲介業者に好まれるのは専属契約となる「専属専任媒介」ですが、専属専任媒介だと売却先の入り口が狭まる上に、自分で販売先を見つけても不動産会社が見つけても必ず仲介手数料が発生します。

そのため一般的には「専任媒介」か「一般媒介」のどちらかから決めることになるでしょう。

「専任媒介」か「一般媒介」か。どちらを選ぶかと考えると、一見多くの売り先が選べそうな「一般媒介」が一番良いように思えます。しかし、不動産仲介業者の側に立ってみると。不動産業者はマンションが売却できたときのみ「仲介手数料」として報酬を得ることができます。

そのため一般媒介がおすすめとなるのは、「駅近」「築浅」といっただれもが欲しがるような人気物件の場合です。このような物件は「良い物件、目ぼしい物件は、すぐに買主がついて広告から姿を消していく」という不動産売買の前提条件からすると、広告などの宣伝活動を行わなくてもすぐに買主が見つかりマーケットから消えていく物件といえます。

こうした物件なら一般媒介でも販売コストがかかりませんし、もし自社で契約成立とならなくても、その広告を見て問い合わせをしてきたお客さんに対して他の物件を案内することができます。そのため人気となりそうな物件については、一般媒介でも歓迎されるのです。

一方、「駅から遠い」「築年数が古い」といった一般的にニーズが低い物件の場合は、一般媒介だと売れない物件だと考えられてしまい、販促活動をしてくれない可能性があります。このような物件は、そのエリアの情報に強い業者や営業力のある業者と専任媒介で契約して、きっちりと販促活動をしてもらう必要があります。

こうした戦略は、なかなか1人で練るのは難しいもの。そんなときに頼もしいパートナーとなるのが、不動産会社の営業担当者なのです。

また不動産会社を選ぶときに役立つのが、築年数や立地、間取りなどを入力して、複数の業者の査定価格を知ることができるウェブ上のサービスです。あくまで限られた条件からの査定なので、最終的な売り出し価格になるとは限りませんが、相場や業者の傾向を知るのに役立ちます。仕事や子育てなどで忙しい場合、不動産業者と打ち合わせるのも大変な作業ですが、こうしたサービスを利用すると一括で多くの業者から見積もりを得ることができます。

不動産業者を選ぶ際には、こうして簡易査定を受けた業者の中から、実際に電話をしてみて丁寧な対応をしてくれた業者や高い査定価格をつけた業者などに内覧を依頼し、正式な売り出し価格を決めていくという流れが一般的です。

良い不動産業者に出会えるよう、複数の業者とコンタクトを取るのがおすすめです。

おわりに

以上のように、マンションなど不動産を売却する方法には、「仲介」と「買取」の2種類があります。どちらも不動産業者を通すという点は変わりませんが、売却方法は全く異なりますし、それぞれメリット・デメリットがあります。

マンション売却は、自らの資産を手放すということです。「いつまでに売却したい」「いつまでに売却する必要がある」「高く売れるなら売る」「安くてもいいので売りたい」など、それぞれの状況に合わせた売却のイメージがあるはずです。適切なパートナーを選択し、自分や所有するマンションの状況に最も合う方法を選択してくださいね。

2017.02.03

メリット・デメリットは?マンションを売却するときの買取と査定(仲介)の違い
メリット・デメリットは?マンションを売却するときの買取と査定(仲介)の違い

マンションを手放すとき、取引方法として買取業者に直接物件を買い取ってもらう「買取」と、買主を探して仲介手数料を支払う「仲介」の2種類があります。それぞれについてはメリットもあればデメリットもあります。また物件の条件や売主側の状況によっても、どちらを選ぶべきか異なってきます。

今回は、この「買取」と「仲介」の違いについて紹介します。

「買取」は売却期間は短いが価格は安くなりやすい

不動産の「買取」とは、マンション等の物件を直接不動産買取業者に売却することをいいます。この場合、物件を売却するための広告掲載や宣伝活動は行う必要はありません。

通常は不動産業者と媒介契約を結んだあと、広告を出して買主を探します。しかし、買主がすぐに見つかるとは限らないので、売却までは数カ月~1年ほどかかることもあります。

一方、買取では、売り先を探す必要がないので、売却先の不動産業者との間で価格が決まればすぐに売却することができます。多くの場合、2週間~1カ月程度で取引が完了します。

「早く不動産を現金化したい」という方や、「人に知られないように物件を売却したい」という方は、買取を選ぶことが多いようです。

また、買取の場合、物件のオーナーは業者に売却することで瑕疵担保責任(一定期間内に故意ではない物件の故障があった場合、売主がその責任を負い、修繕費用を出さなくてはならない)を免れます。築年数が古い物件の場合、破損などの物件にかかわる責任を担保するリスクが発生するので、買取のほうが向いているといえるでしょう。

さらに、買取の場合、不動産仲介での取引の際に発生する「不動産仲介手数料」もかかりません。


一方、不動産を買い取った業者は、購入した不動産をリフォームしたのちに新たな買主に売却するので、仕入れ値である物件の価格を安く抑えたいと考える傾向にあります。

この価格の低下を抑えるためには、市場価格の状況や売却のタイミング、物件の魅力をしっかりと査定担当者と共有しておく必要があります。

「仲介」は価格は高くなりやすいが売却期間は長め

一方「仲介」の場合、不動産業者は新聞の折り込みチラシやネット上に物件情報を掲載して、買主を探します。そのエリアに強い業者の場合、すでに売却したいマンションのニーズに合った見込み顧客をもっている可能性もありますが、ほとんどの場合は一から購入希望者を探すので、短期間での売却の可能性は低くなります。この場合、だいたい、3~6カ月は期間を見ておいた方が良いでしょう。

仲介での売却価格は、査定価格を参考に市場価格も加味しながら決定するので、売主側も納得できる価格で売却できます。ただしこの場合には、オーナーには瑕疵担保責任が生じます。

取引成立時には、不動産業者に対して仲介手数料を支払うので、売却した金額からそのコストを引いたものが、オーナーの手取りになります。

「買取」と「仲介」の選択はケースバイケース

以上のように、買取と仲介にはそれぞれ異なる特徴があります。そんな買取と仲介は、以下のようなケースにおすすめです。

買取

・短期間で売却したい

・人に知られずにマンションを売却したい

・建物の築年数が古く、瑕疵担保責任が発生するリスクがある

・不動産売却にかかる経費を節約したい

仲介

・売却期間に余裕があり、納得できる価格で売却したい

・売り先を自分で選びたい

・築年数が浅いなど、物件の価値が高い

不動産仲介、3つの形態のポイント

不動産仲介には、大きく分けて「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」3つの契約形態があります。こちらもそれぞれメリットとデメリットがあり、物件の条件や売主側の状況によって選ぶべき契約が変わってきます。

「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」それぞれのポイントは以下のとおりです。

一般媒介

・売主は複数の不動産会社に同時依頼が可能

・売主が自分で見つけた購入希望者(知人や親戚など)と不動産業者を通さず直接契約できる

・不動産会社側には、業務報告や不動産指定流通機構(通称レインズ)に物件情報を登録する義務を負わない

・不動産会社側は売主に業務報告をする義務を負わない
・他にどのような業者と契約しているか明らかにする「明示型」と、契約先を明かさない「非明示型」がある

専任媒介

・売主は複数の不動産会社に同時依頼してはいけない

・売主が自分で見つけた購入希望者であれば、直接契約してもOK。

・不動産会社は売主に対し、2週間に1回以上業務報告をしなくてはならない。

・不動産会社は7営業日以内にレインズに物件の情報を登録しなくてはならない。

・契約の有効期間は3カ月間

専属専任媒介

・売主は他の不動産会社に依頼してはいけない

・売主が自分で見つけた購入希望者であっても、業者を通さずに直接契約できない

・不動産会社は1週間に1回以上売主に業務報告しなければならない

・不動産会社は5営業日以内にレインズに物件情報を登録しなければならない

・契約の有効期間は3カ月間

物件の特徴によって契約形態を分けて

3つのうち、仲介業者に好まれるのは専属契約となる「専属専任媒介」ですが、専属専任媒介だと売却先の入り口が狭まる上に、自分で販売先を見つけても不動産会社が見つけても必ず仲介手数料が発生します。

そのため一般的には「専任媒介」か「一般媒介」のどちらかから決めることになるでしょう。

「専任媒介」か「一般媒介」か。どちらを選ぶかと考えると、一見多くの売り先が選べそうな「一般媒介」が一番良いように思えます。しかし、不動産仲介業者の側に立ってみると。不動産業者はマンションが売却できたときのみ「仲介手数料」として報酬を得ることができます。

そのため一般媒介がおすすめとなるのは、「駅近」「築浅」といっただれもが欲しがるような人気物件の場合です。このような物件は「良い物件、目ぼしい物件は、すぐに買主がついて広告から姿を消していく」という不動産売買の前提条件からすると、広告などの宣伝活動を行わなくてもすぐに買主が見つかりマーケットから消えていく物件といえます。

こうした物件なら一般媒介でも販売コストがかかりませんし、もし自社で契約成立とならなくても、その広告を見て問い合わせをしてきたお客さんに対して他の物件を案内することができます。そのため人気となりそうな物件については、一般媒介でも歓迎されるのです。

一方、「駅から遠い」「築年数が古い」といった一般的にニーズが低い物件の場合は、一般媒介だと売れない物件だと考えられてしまい、販促活動をしてくれない可能性があります。このような物件は、そのエリアの情報に強い業者や営業力のある業者と専任媒介で契約して、きっちりと販促活動をしてもらう必要があります。

こうした戦略は、なかなか1人で練るのは難しいもの。そんなときに頼もしいパートナーとなるのが、不動産会社の営業担当者なのです。

また不動産会社を選ぶときに役立つのが、築年数や立地、間取りなどを入力して、複数の業者の査定価格を知ることができるウェブ上のサービスです。あくまで限られた条件からの査定なので、最終的な売り出し価格になるとは限りませんが、相場や業者の傾向を知るのに役立ちます。仕事や子育てなどで忙しい場合、不動産業者と打ち合わせるのも大変な作業ですが、こうしたサービスを利用すると一括で多くの業者から見積もりを得ることができます。

不動産業者を選ぶ際には、こうして簡易査定を受けた業者の中から、実際に電話をしてみて丁寧な対応をしてくれた業者や高い査定価格をつけた業者などに内覧を依頼し、正式な売り出し価格を決めていくという流れが一般的です。

良い不動産業者に出会えるよう、複数の業者とコンタクトを取るのがおすすめです。

おわりに

以上のように、マンションなど不動産を売却する方法には、「仲介」と「買取」の2種類があります。どちらも不動産業者を通すという点は変わりませんが、売却方法は全く異なりますし、それぞれメリット・デメリットがあります。

マンション売却は、自らの資産を手放すということです。「いつまでに売却したい」「いつまでに売却する必要がある」「高く売れるなら売る」「安くてもいいので売りたい」など、それぞれの状況に合わせた売却のイメージがあるはずです。適切なパートナーを選択し、自分や所有するマンションの状況に最も合う方法を選択してくださいね。