2017.02.01
投資や賃貸用マンションなどの事業用不動産を売却した時は、譲渡所得に応じて所得税・住民税を納める必要があります。今回は、確定申告も含めたマンション売却時の所得にかかる税金についてお伝えします。
投資用マンションの譲渡所得や税額はどうやって計算する?
投資用マンションの場合、居住用の不動産ではないので、「マイホームの3つの特例」や「譲渡損が出た場合の損益通算・繰越控除の特例」は利用できません。(これらの特例については後述します)
譲渡所得は、以下の計算式で求められます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
税額の計算式は以下の通りです。
税額=譲渡所得×税率(所得税・住民税)
また、税率は以下の通りです。
短期譲渡(譲渡した年の1月1日時点で5年以下) 税率 39.63%(所得税30%住民税9%)
長期譲渡(譲渡した年の1月1日時点で5年超)税率 20.315%(所得税15%住民税5%)
なお、不動産の取得の日・譲渡の日は原則引き渡しの日を指しますが、契約の日をもって判断しても良いことになっています。ただ、新築の場合は引き渡しの日だけです。この日時によって、短期譲渡か長期譲渡か変わってくる場合があるので要注意です。
譲渡費用は、譲渡のための直接費用を指します。具体的には、以下のようなものです。
・土地や建物を売るために、不動産会社に支払った仲介手数料など
・登記や登録のための費用
・売主が負担した印紙税
・借家人に家屋を明け渡してもらうために支払った立退料
・土地などを売る際、その上の建物を取り壊したときの費用、建物の損失額
・土地などの測量費用
・売買契約後に、さらに有利な条件で売るため最初の契約者に支払った違約金
・借地権を売る際、地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
・資産の譲渡価額を増加させるため、資産の維持や管理にかかったそのほかの費用
居住期間の修繕費や固定資産税や、売却代金取立てのための費用などは、譲渡費用に含みません。
なお、取得費は、不動産を取得したときの金額から、使用期間に応じた減価償却費を差し引かなくてはいけません。平成28年4月1日以降に取得した建物附属設備、構築物については定額法で計算しなければなりません。建物の構造や用途によって耐用年数が異なるので、減価償却の概要は、国税庁のホームページなどで確認してください。
特定事業用資産の買換え特例制度は、賃貸マンション1室からでも適用できる
投資用マンションは、マイホーム向けの特例を受けることはできませんが事業用不動産を売却した場合に利用できる特例の代表的なものとして、「特定事業用資産の買換え特例制度」があります。ただしこれは、景気対策、土地の流動化を図る目的で設けられた特例制度なので、平成29年3月31日までの時限立法です。また、10年を超えて事業を営んでいる不動産に限られます。不動産の売却は、思い立ったらすぐというわけにはなかなかいかないので、この制度を利用する場合は迅速に行動しなくてはいけません。
この特例を受けると、特定の地域内にある土地建物等の特定の資産を取得し、取得した日から1年以内に買換資産を事業用に活用したときは、一定の要件のもとで、譲渡益の一部に対する課税を最大8割まで将来に繰り延べることができます。
もし売った金額(譲渡価額)より買い換えた金額(取得価額)の方が多いときは、売った金額に20%(課税割合といいます)を掛けた額を収入金額として、譲渡所得を計算します。
一方、売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に課税割合を掛けた額の合計額を収入金額として、譲渡所得を計算します。
また、東京や大阪の集中地域の一部には、別途課税割合が定められています。
1.東京都の特別区内 30%
2.そのほかの集中地域(武蔵野市、三鷹市、横浜市、川崎市、川口市、大阪市など) 25%
この特例は個人も法人も受けることができますが、譲渡資産も買換資産も所有者自身の「事業」に利用されているものでなければなりません。ただ、不動産収入はあるが貸マンション1室のみという「事業」と称するには小規模に思えるようなものも対象になります。また、売却する事業用不動産も購入する不動産も、一部地域を除いて場所を問わないので、資産ポートフォリオの組み換えの際にも使いやすいのがメリットです。
事業用の資産を買い換えたときの特例を受けるときには、
1.譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
2.買換資産の登記事項証明書などその資産の取得を証する書類
3.譲渡資産及び買換資産が特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区町村長等の証明書など
を添えて、確定申告をしなければなりません。
会社勤めをしながら不動産で収入を得ている場合も、譲渡益が出たら申告が必要
投資用マンションは、マイホーム向けの特例を受けることはできませんが事業用不動産を売却した場合に利用できる特例の代表的なものとして、「特定事業用資産の買換え特例制度」があります。ただしこれは、景気対策、土地の流動化を図る目的で設けられた特例制度なので、平成29年3月31日までの時限立法です。また、10年を超えて事業を営んでいる不動産に限られます。不動産の売却は、思い立ったらすぐというわけにはなかなかいかないので、この制度を利用する場合は迅速に行動しなくてはいけません。
この特例を受けると、特定の地域内にある土地建物等の特定の資産を取得し、取得した日から1年以内に買換資産を事業用に活用したときは、一定の要件のもとで、譲渡益の一部に対する課税を最大8割まで将来に繰り延べることができます。
もし売った金額(譲渡価額)より買い換えた金額(取得価額)の方が多いときは、売った金額に20%(課税割合といいます)を掛けた額を収入金額として、譲渡所得を計算します。
一方、売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に課税割合を掛けた額の合計額を収入金額として、譲渡所得を計算します。
また、東京や大阪の集中地域の一部には、別途課税割合が定められています。
1.東京都の特別区内 30%
2.そのほかの集中地域(武蔵野市、三鷹市、横浜市、川崎市、川口市、大阪市など) 25%
この特例は個人も法人も受けることができますが、譲渡資産も買換資産も所有者自身の「事業」に利用されているものでなければなりません。ただ、不動産収入はあるが貸マンション1室のみという「事業」と称するには小規模に思えるようなものも対象になります。また、売却する事業用不動産も購入する不動産も、一部地域を除いて場所を問わないので、資産ポートフォリオの組み換えの際にも使いやすいのがメリットです。
事業用の資産を買い換えたときの特例を受けるときには、
1.譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
2.買換資産の登記事項証明書などその資産の取得を証する書類
3.譲渡資産及び買換資産が特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区町村長等の証明書など
を添えて、確定申告をしなければなりません。
マイホームを売却して譲渡益を受けた場合の特例も知っておこう
・3000万円の特別控除の特例
事業用不動産と同じく、マイホームにも長期譲渡所得又は短期譲渡所得で税率の違いはありますが、この場合、どちらに該当しても、一定のものについては、課税譲渡所得金額を計算する際に、最高3000万円が控除されます。
譲渡所得-特別控除=課税譲渡所得金額
※譲渡所得:譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
特別控除額:3000万円
なお、譲渡所得が3000万円に満たない場合には、譲渡所得の金額が特別控除の限度額となります。
・軽減税率の特例
不動産を売却した年の1月1日時点で、その自宅の所有期間が10年を超えている場合は、上記3000万円の特別控除の特例を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対し、次のように軽減税率を適用できます。
6000万円までの部分 (所得税)10% (住民税)4%
6000万円を超える部分 (所得税)15% (住民税)5%
特に、住宅を売った年の前年から翌年まで(3年間)に自宅の買換え(交換)をした場合、「譲渡価額が1億円以下」、「売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超」、「居住期間10年以上」といった条件にあてはまれば、その譲渡益の課税を繰り延べる特例が受けられます。
ただし、これは3000万円の特別控除との選択適用になります。
おわりに
今回は、マンション売却時の所得にかかる税金についてお伝えしました。確定申告は煩雑に感じるかもしれませんが、うまく活用すれば大幅な減税になります。税務上の知識でよくわからない点がある場合は、取引のある不動産業者や税理士に相談してみてください。