基礎知識

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住宅ローンが残っている共有名義のマンション、離婚する場合の手続きは?

2017.07.05

住宅ローンが残っている共有名義のマンション、離婚する場合の手続きは?をご紹介します。

2人でマンションを購入した夫婦が離婚の手続きをすると、残った住宅ローンはどうなってしまうのでしょうか?夫婦が共有する土地や住まいなどの不動産は、離婚に至ると財産分与で悩むケースが非常に多いものです。そこで、離婚による住宅ローンでの名義変更は可能なのかを解説します。

不動産の所有名義と住宅ローン名義の違いとは?

不動産の所有名義とは

住居として不動産を購入した場合は、その物件が誰の所有であるか登記する名義のことを所有名義といいます。1人であれば「単独名義」になりますが、夫婦で登記した場合は「共有名義」となります。所有名義の場合、離婚するときに住宅ローンが残っていても共有名義から単独名義に変更することが可能です。しかし、ローンを契約するときに交わした金銭消費賃貸契約書で記載されているように、事前に債権者である金融機関から承諾をもらう必要があります。

不動産の住宅ローン名義とは

銀行などの金融機関からお金を借りた契約者本人のことを「住宅ローン名義」といいます。夫1人でローン契約をした場合は夫が債務者となり「単独名義」となります。夫婦の収入合算でローン契約をした場合は、夫婦で連帯債務者となり「夫婦共有名義」となります。まず、住宅ローンのお金を貸している金融機関からの審査や承諾を無視して、名義変更を行ったり、はずしたりすることはできません。共有名義で住宅ローンを契約した場合、離婚後に住宅ローン名義を夫婦どちらかの単独名義に変更することは難しく、ローンが完済するまで支払い義務は夫婦に課されることになります。共有名義の場合、住宅ローンが残った状態で離婚し、支払いを滞らせたりすると、債権者は夫婦双方に一括返済を迫るケースがあります。

また、支払いができないとみなされると、抵当権がある不動産によっては競売にかけられる可能性もあるでしょう。最悪のケースとして、財産分与で得た不動産であっても強制的に退去させられてしまうことになります。

住宅ローンの名義変更は夫婦間だけで成立しない


離婚のため、共有名義にしていたマンションローンについて話し合い、お互い納得し合意が得られたとしても、債権者である金融機関の承諾を得ることは非常に難しいものです。

「ローン返済が残っているマンションに妻と子どもが住み続け、夫が養育費代わりにローンを支払う」「夫がローンを返済しながら住み続け、所有名義・ローン名義も単独に変更して妻は共有名義からはずれる」など、今後の具体的な計画を夫婦間で成立させたとしても、融資を受けた金融機関から認められなければ成立しません。

共有名義でローンを契約したということは、夫婦の収入額に対して融資可能として審査を通したわけです。どちらか一方が名義人からはずれてしまうと収入合算には達しなくなります。そのため、債権者はローン残金の支払いができなくなる可能性が高い単独名義への変更を認めたくないのです。

共有名義を他の人に代わってもらう

離婚によって共有名義で借りたローンを、代わりに名義人になってくれる人が出てくれば共有名義からはずれることも可能になります。しかし、現実的に代わりになってローンを引き受けてくれる人はなかなかいないでしょう。また仮に、共有名義になってくれる人が現れたとしても、その変更を認めるかどうかも、債権者である金融機関の判断に委ねられることになります。

おわりに

住宅ローンの名義変更は、金融機関との交渉が第一条件になります。誰の名義をどのように変更するかによって、各金融機関の承諾条件を基にした結果が下されます。離婚という法的な理由であっても、マンションなどの住宅ローンの名義変更は非常に難しい手続きだということがわかるでしょう。共有名義で購入したマンションがあるにも関わらず離婚することが決定した場合は、名義変更をどうするか、金融機関との交渉が必要ということを覚えておきましょう。ローンの返済ができない場合は、不動産を売却するという選択肢もあります。

2017.07.05

住宅ローンが残っている共有名義のマンション、離婚する場合の手続きは?をご紹介します。
住宅ローンが残っている共有名義のマンション、離婚する場合の手続きは?

2人でマンションを購入した夫婦が離婚の手続きをすると、残った住宅ローンはどうなってしまうのでしょうか?夫婦が共有する土地や住まいなどの不動産は、離婚に至ると財産分与で悩むケースが非常に多いものです。そこで、離婚による住宅ローンでの名義変更は可能なのかを解説します。

不動産の所有名義と住宅ローン名義の違いとは?

不動産の所有名義とは

住居として不動産を購入した場合は、その物件が誰の所有であるか登記する名義のことを所有名義といいます。1人であれば「単独名義」になりますが、夫婦で登記した場合は「共有名義」となります。所有名義の場合、離婚するときに住宅ローンが残っていても共有名義から単独名義に変更することが可能です。しかし、ローンを契約するときに交わした金銭消費賃貸契約書で記載されているように、事前に債権者である金融機関から承諾をもらう必要があります。

不動産の住宅ローン名義とは

銀行などの金融機関からお金を借りた契約者本人のことを「住宅ローン名義」といいます。夫1人でローン契約をした場合は夫が債務者となり「単独名義」となります。夫婦の収入合算でローン契約をした場合は、夫婦で連帯債務者となり「夫婦共有名義」となります。まず、住宅ローンのお金を貸している金融機関からの審査や承諾を無視して、名義変更を行ったり、はずしたりすることはできません。共有名義で住宅ローンを契約した場合、離婚後に住宅ローン名義を夫婦どちらかの単独名義に変更することは難しく、ローンが完済するまで支払い義務は夫婦に課されることになります。共有名義の場合、住宅ローンが残った状態で離婚し、支払いを滞らせたりすると、債権者は夫婦双方に一括返済を迫るケースがあります。

また、支払いができないとみなされると、抵当権がある不動産によっては競売にかけられる可能性もあるでしょう。最悪のケースとして、財産分与で得た不動産であっても強制的に退去させられてしまうことになります。

住宅ローンの名義変更は夫婦間だけで成立しない


離婚のため、共有名義にしていたマンションローンについて話し合い、お互い納得し合意が得られたとしても、債権者である金融機関の承諾を得ることは非常に難しいものです。

「ローン返済が残っているマンションに妻と子どもが住み続け、夫が養育費代わりにローンを支払う」「夫がローンを返済しながら住み続け、所有名義・ローン名義も単独に変更して妻は共有名義からはずれる」など、今後の具体的な計画を夫婦間で成立させたとしても、融資を受けた金融機関から認められなければ成立しません。

共有名義でローンを契約したということは、夫婦の収入額に対して融資可能として審査を通したわけです。どちらか一方が名義人からはずれてしまうと収入合算には達しなくなります。そのため、債権者はローン残金の支払いができなくなる可能性が高い単独名義への変更を認めたくないのです。

共有名義を他の人に代わってもらう

離婚によって共有名義で借りたローンを、代わりに名義人になってくれる人が出てくれば共有名義からはずれることも可能になります。しかし、現実的に代わりになってローンを引き受けてくれる人はなかなかいないでしょう。また仮に、共有名義になってくれる人が現れたとしても、その変更を認めるかどうかも、債権者である金融機関の判断に委ねられることになります。

おわりに

住宅ローンの名義変更は、金融機関との交渉が第一条件になります。誰の名義をどのように変更するかによって、各金融機関の承諾条件を基にした結果が下されます。離婚という法的な理由であっても、マンションなどの住宅ローンの名義変更は非常に難しい手続きだということがわかるでしょう。共有名義で購入したマンションがあるにも関わらず離婚することが決定した場合は、名義変更をどうするか、金融機関との交渉が必要ということを覚えておきましょう。ローンの返済ができない場合は、不動産を売却するという選択肢もあります。