2017.03.08
不動産を購入したものの、なんらかの理由で購入時に組んだローンを支払い続けることが困難になってしまった場合、債権者との話し合いを通じて不動産を売却する「任意売却」という手続きを取ることができます。
通常、住宅ローンを滞納してしまうと、不動産は最終的に競売にかけられ、売却代金もすべて住宅ローンなどの借入金に充てられてしまいます。このとき任意売却を行うと、競売に比べて市場価格に近い値段で売ることができたり、引っ越し費用などの捻出をしたりすることができるため、大変便利な制度となっています。
その任意売却の一種として、近年「リースバック」という不動産売却の仕組みが注目されています。
リースバックの仕組み
「リースバック」とは、任意売却の一種で、所持している不動産を個人投資家や不動産業者などに売却した後、その不動産の購入者と賃貸契約を結び、売却した不動産にそのまま住み続けることができるという仕組みの制度です。正式名称は「セール・アンド・リースバック」と言います。
このリースバックの仕組みを利用すれば、住宅ローンの支払いができなくなってしまっても、今住んでいる自宅やマンションを出ていかなくて済むため、購入した不動産を完全には手放したくない、慣れ親しんだ場所から引っ越したくないといった方などに向いています。
リースバックのメリット
リースバックの一番のメリットは、現在住んでいる住まいにそのまま住み続けることができるという点です。
そして、住宅のために毎月支払う金額が低くなる可能性があります。リースバックをすると住宅ローンの支払いがなくなり、代わりに家賃の支払いが発生します。不動産の買取価格によっては、住宅ローンよりも、月々の賃料のほうが安くなる可能性もあります。絶対に家賃のほうが安くなるとは言い切れませんが、試してみる価値はあるでしょう。
また、固定資産税の支払い義務がなくなるというメリットもあります。固定資産税は、不動産の所有者が支払うべきものなので、物件の借主となれば負担する義務がなくなります。
老後の資金が必要となった、子どもの教育資金が必要となったなどの場合に、住宅に住み続けながら資金を得ることができる他にも、将来優先的に買い戻す契約を結ぶこともできます。
リースバックのデメリット
リースバックには沢山のメリットもありますが、デメリットもあります。
リースバックのデメリットは、買主や物件の状況によっては、家賃が相場よりも高くなってしまったり、将来売却した不動産を買い戻そうとしたときに、売却時よりも高い金額を提示されたりすることがあるという点です。
リースバックにより売却した不動産は、買主のものになります。買主はリースバックをあくまで投資やビジネスの一環として行っているので、売却後の家賃や買い戻し時の金額の設定は物件の査定状況に応じて行われます。そのため、買主によっては、家賃や不動産買い戻し時の費用が高くなってしまうことがあるのです。
また、これまで所有物件であったものも賃貸物件としての所有となるため、家賃が値上げされる可能性があったり、家賃の滞納があった場合は、即退去させられてしまったりということも起こり得ます。
おわりに
リースバックは、所有しているマンションなどの物件を売却しつつ、賃貸物件として住み続けることのできる手段です。メリットも多くありますが、売却後の家賃値上げなどのリスクもあるため、信頼・信用できる投資家や不動産業者に物件を売却することが重要なポイントです。
リースバックを検討する際には買取業者を慎重に選ぶため、実績豊富な業者を選んだり専門家に相談に乗ってもらったりなどして、信頼できる買主を見つけましょう。