2017.01.01
いざ賃貸マンションの経営を始めてはみたものの、家賃の滞納や周囲の入居者とのトラブルなど、問題のある入居者に頭を悩ませている大家さんは少なくありません。なかなか出て行ってくれない不良入居者が原因で、物件を手放してしまいたくなる大家さんもいるようです。
一般的な賃貸契約では、「入居者からは1か月前に通告、家主からは半年前に通告」すれば、解除できると考えている人は多いのではないでしょうか?ところが、契約書にはそう書かれていても、実際にはオーナーの都合で契約を解除するのは非常に困難なのです。
普通借家契約と定期借家契約の違い
オーナーからの申し入れで賃貸借契約を簡単に解除できないのは、賃借人の権利が「借地借家法」という法律で手厚く保護されているためです。賃借人に契約を継続する意思がある場合、オーナーからはよほど「正当な理由」がない限り、契約解除や更新の拒絶はできません。これが通常の、「普通貸家契約」です。
ところで、不動産の賃貸契約には、「普通貸家契約」と「定期借家契約」の2種類があることをご存じでしょうか?
「普通貸家契約」では、一度賃貸に出したら簡単にやめることはできませんが、「定期借家契約」では、始めから一定の期間だけ借家契約を結び、期間が終了したら契約は終了となります。再契約を交わすことは可能ですので、始めから「定期借家契約」にしておけばトラブルは避けられるのでは、と考えることもできます。
しかし「定期借家契約」は借主に不利な契約のため、賃料を安くしないと借り手がつきにくいというデメリットがあります。
どんなトラブルが想定されるか
賃料の滞納
賃貸に出しているマンションで非常に多いトラブルです。3か月以上滞納するなど悪質な場合は、裁判所に訴えて強制執行するなどの対策が必要です。
ペットの飼育
ペットの飼育を禁止しているマンションでペットを飼っている入居者がいる場合、契約書に「退去」と明示していたとしても、やはり即強制退去というわけにはいきません。
ゴミ問題
マンションでのゴミ問題は、ベランダへのゴミの放置や悪臭、虫の発生など、周囲の入居者に甚大な被害を与えます。早期に対策することが求められます。
騒音問題
悪意のないもの(ピアノや子どもの泣き声など)から悪質なものまで、住人同士でトラブルになるととてもやっかいです。不動産会社などの第三者が介入して問題解決を図ることが一番です。
不動産会社に対応をお願いしよう
まずは管理会社や不動産会社など、そのような問題に慣れたプロの方に相談しましょう。話し合いに応じてくれない入居者にも、まずは誠意を持って対応し、こちらから行った努力や具体的行動は、必ず証拠を残しておくことをおすすめします。
おわりに
最近話題のシェアハウスでは、賃貸契約を短期の「定期借家契約」で行うことが多いそうです。キッチンやリビングなどを共用し、さまざまなルールを守って生活しなければならないシェアハウスでは、悪質なルール違反をする賃借人を強制退去させられなければ他の住民に迷惑をかける恐れもあります。
以前は取り壊しが決まっている物件や、長期海外出張中の家主さんなどごく少数のオーナーしか利用していなかった「定期借家契約」ですが、最近では不良入居者を排除して、本来の入居者の権利を守るための解決法として注目を浴びているようです。入居者とのトラブルが発生した場合、まずは管理会社や不動産業者などの専門家に相談し、感情的にならないよう適切な処置を心掛けましょう。