2017.01.24
実際にマンションを購入する際には、さまざまな視点で物件の見極めが必要です。購入してみた後に、実は不良物件だった場合には不要なトラブルに巻き込まれる可能性もあるでしょう。そのような事態にならないためにも、購入前には住宅構造を含め、さまざまな性能をチェックすることが大切です。
そんなとき、買主に代わって新築物件の性能をしっかりと検査してくれる制度「住宅性能評価」があることはご存知でしょうか。住居、マンション購入を考えている人は住宅性能評価についてぜひ確認しておきましょう。また物件売却を考えている方も参考にしてください。
住宅性能評価書とは?
住宅性能評価とは、新築のマンションまたは住居の性能について、全国共有のルールをもとに第三者評価機関が公平な立場で評価したものです。この制度は、完成した住宅では確認できない部分(耐震性、安全性等)について、第三者評価機関(国土交通大臣に登録)が購入者の立場になって、決められた10つの分野に関して検査を行う法廷制度です。この評価をまとめたものは「住宅性能評価書」と呼ばれ、これが交付された住宅については、万が一入居後に建物に問題があった場合に指定住宅紛争処理機関に1件あたり1万円で紛争処理を申請することができます。また、この住宅性能評価書を取得することで地震保険料が割引されることもあります。
2種類の住宅性能評価書
住宅性能評価書には下記の2種類があります。
・設計住宅性能評価書 設計時の図面をもとに評価結果をまとめたもの
- ・建設住宅性能評価書 「設計住宅性能評書」に記載された性能がきちんと満たされて建てられているかを施工中や竣工時に現場で検査を行い、その結果をまとめたもの
建設住宅性能評価については、その前段階である設計住宅性能評価を完了させていないと評価を行うことができません。以下で検査項目について詳しく見てみましょう。
検査項目にはどんなものがあるのか?
住宅性能評価には10つの分野の検査項目があります。
- 1.構造の安定に関すること
住宅の基礎、柱や壁などの構造自体の強さについ評価します。地震、防風、積雪の3つの自然事象が与える影響にどれだけ耐えられるかが確認できます。免振の場合は、ここに表示されます。
- 2.火災時の安全に関すること
火災発生時に必要とされる安全確保対策の「安全な避難を確保するための対策」 「延焼を防止するための対策」について評価します。
- 3.劣化の軽減に関すること
住宅材料の経年劣化対策がどの程度施されているかを評価します。どのくらいの期間建替えなしで住むことができるかを確認できます。
- 4.維持管理・更新への配慮に関すること
上記「劣化の軽減に関すること」と比較すると、耐用期間が短い箇所である給排水菅、給湯管及びガス管について、清掃、点検、修理の簡便性について評価します。
- 5.温熱環境に関すること
できる限りエネルギーを使用せず、快適に過ごせる住宅であるかを評価します。断熱・気密・採光(冬季)・遮光(夏季)性等を確認できます。
- 6.空気環境に関すること
住宅内で発生する水蒸気、化学物質の濃度低減への対策について評価します。住宅建材の選定と換気方法について確認できます。
- 7.光・視環境に関すること
住宅内で生活する上で、視界に負担をかけない、必要な明るさが保たれているかを評価します。
- 8.音環境に関すること
人のはなし声や、床から伝わる騒音、窓の遮音性がどれくらい施されているかを評価します。
- 9.高齢者等への配慮に関すること
高齢者や介助者の移動に必要なスペースの確保やバリアフリー対策がされているかを評価します。
10.防犯に関すること
「被害対象の強化」に重点を置き、住宅に使用されている部材や設備が壊されにくいものになっているかを評価します。
それぞれの項目に関して、第三者評価機関が分かりやすく1、2、3など、数値で評価しています。
おわりに
住宅性能評価書は、一見分かりにくい物件の設計・建築過程の構造や性能を客観的に評価してくれるものです。これは物件の良し悪しを判断する大切な指標となります。
また、他の物件の評価書があれば、住宅性能の比較ができ、より良いものを選ぶことができるかもしれません。新築物件を購入する際には、この住宅性能評価書があるものを選ぶことをおすすめします。そして物件を売却する際には、住宅性能評価書があることで物件の資産価値を高くすることも可能でしょう。