2017.03.05
不動産投資をする場合、対象となる物件を所有していない場合は購入するところから始めなくてはなりません。自己資金が十分にある場合は別ですが、大抵の場合は銀行などから融資を受けて物件を購入します。その後、家賃収入などからローンを返済し、返済し終わった時点からの収入が利益として残ります。
このような不動産投資への融資は、民間の金融機関だけが行うわけではありません。日本政策金融公庫という政府系の金融機関でも、融資を行ってくれます。日本政策金融公庫は低金利で審査も融通が利くため、不動産投資を考えている人にはとても魅力的な機関だと言えます。今回は、そんな日本政策金融公庫から融資を受けるための条件についてご紹介しましょう。
家賃収入を目的とした不動産賃貸業者であること
1つ目の条件は、不動産賃貸業者であることです。このように言うと個人では融資してもらえないと思うかもしれませんが、家賃収入を目的とした投資であれば個人でも「事業」とみなしてもらえます。転売を目的としたキャピタルゲイン狙いの投資に対しては、日本政策金融公庫は融資してくれませんのでご注意ください。
また、対象となる不動産賃貸業者の性別や年齢によって金利が異なってくるのも、日本政策金融公庫の特徴です。普通の金融機関は返済能力の高い人に対して優遇措置を取りますが、日本政策金融公庫は政府系の金融機関であるため、社会的に弱い立場にあるとされる人を優先的に優遇するスタンスを取っています。例えば、女性や、29歳未満の若い男性、55歳以上の男性は金利が優遇されます。
担保物件があること
日本政策金融公庫から融資を受けるためには、担保となる物件がなくてはなりません。担保物件は独自の評価基準で評価され、その評価結果によって金利が優遇される仕組みになっています。提供した担保の評価が高ければ高いほど、適用される金利は低くなります。もし借入金額を完全にカバーできる評価であれば1%台前半での融資が可能になります。(2016年時点)
税金等の滞納がないこと
政府系の金融機関のため、税金や公共料金の未払いがあると融資を受けるのは難しくなります。法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税を支払っているかどうかが重視され、滞納があった場合には、滞納分の税金を納めた領収書の提出が求められる場合もあります。
実際に公共料金滞納を理由に融資を断られた事例もあるため、審査を受ける前に十分に確認しておきましょう。
もしも公共機関や税金の滞納や延滞をしてしまった場合、まずはきちんと滞納分を支払った上、滞納のない状態を1~2年以上維持しておく必要があります。
いずれ国庫の融資を検討している場合は、税金や公共機関への支払を滞納しないように気を付けましょう。
デメリットにも注意
日本政策金融公庫はとても低い金利で融資してくれるため、不動産投資家にとっては魅力的な金融機関です。しかし、デメリットとなる特徴もあるので注意しておく必要があります。
まず、借入期間が民間の金融機関と比べて短いという特徴があります。女性であれば優遇措置により20年になる場合もありますが、30歳から54歳の男性の場合10年しかありません。大きな金額を借り入れると、毎月の返済額もそれだけ大きくなってしまいます。
また、借り入れの上限も決められており、個人の場合の普通貸付は最大4,800万円となっています。物件価格が高額の場合は自己資金に頼ることになりますので、注意が必要です。
おわりに
日本政策金融公庫は低い金利でかつ固定金利の融資を受けられる、投資家にとっては強い味方です。担保物件を提供できることが求められますが、低金利かつ女性は長めの借入期間を適用してもらえる可能性があることから、投資を考えている女性にとっても魅力的な借入先と言えます。
ただし、借入金額に限度があったり、通常は借入期間が短めであったりとデメリットとなる特徴もあるため、マンションの価格と融資額とをじっくり検討してから選ぶことをおすすめします。