2017.02.19
投資用として、利回りの高さで人気となっているのが東京都などの首都圏にあるワンルームマンションです。
特に学生などが住む非常に狭いタイプのワンルームマンションには、初期投資額も1,000万円以内という手頃な中古物件もあり、ある程度の集客が予測できて入居者の回転率も高いため、マンション投資の初心者の方にとってはおすすめの投資対象と言えます。
しかしよく探してみると、ワンルームマンションで築年数の新しい物件はとても少ないのです。実は、東京をはじめとする多くの都市部の自治体では、ワンルームマンションの建設が条例で規制されていることをご存じでしょうか?
「ワンルームマンション規制」とは
ワンルームマンションの定義は、1戸の住居の専有面積が基準になっています。自治体によって異なりますが、多くは専有面積が25㎡から40㎡以下のマンションをワンルームマンションと定義しています。
多くの区や自治体は、上記のワンルームマンションが一定の戸数ある建築物の中に、専有面積の広いファミリー向け住戸を確保することや、駐輪場の確保、管理人の駐在などを義務付けています。
また豊島区では、上記の規制だけではなく、ワンルームマンションの建築に課税を行っています。これは、2004年に施行された「狭小住戸集合住宅税条例」、通称「ワンルームマンション税」と呼ばれるもので、狭小住宅1戸について50万円が課税されます。
これでは、新たにワンルームマンションを建築しようとするデベロッパーは大変です。既存のワンルームだけの投資用マンションは、狭い敷地内に比較的低コストで建築できましたが、ファミリー向け住居も含めるとなると敷地面積の確保や設計など多くの費用が必要となります。さらに課税の費用まで視野にいれると、新たにワンルームマンションを建築するハードルはかなり高くなるでしょう。
「ワンルームマンション規制」の理由
東京でワンルームマンション規制が強化され始めたのは、2000年頃からと言われています。
以下のような問題の対策として、ワンルームマンションの規制が始まりました。
自治体から見た不都合
自治体から見た不都合として考えられるのは以下の3つです。
1つ目は金銭的な観点です。そもそも住民票を移動していない単身者や学生からは、税収が見込めません。
2つ目は、地域活性化の観点からです。ワンルームマンションに入居する人は、町内会や自治会などの地域コミュニティーにあまり頻繁に参加しない傾向があります。ワンルームマンションは利回りが高く運用しやすいですが、それらの物件ばかり増えてしまうと、面積的にもそのぶんファミリー世帯向けの施設や物件が少なくなってしまいます。税金を必要とし、かつ、地域活性化を目指す自治体は、より多くのファミリー世帯を誘致したいという意図を持っています。
3つ目はトラブルの観点からです。住宅街に突然ワンルームマンションが建つと、近隣の居住者との関係において、生活時間帯の違いによる騒音問題、またマナーの悪いゴミ出し方法などがトラブルとなり、紛争に発展する可能性も考えられます。
「ワンルームマンション規制」と投資との関係
日本全体では人口が減少傾向にあり、空き家や空室問題が注目されていますが、東京23区内ではまだ人口増加が続いているため、ワンルームマンションの需要は大きくあります。
しかも規制によって、ワンルームマンションの供給は今後も少なくなることが考えられるため、利便性がよく家賃が安いワンルームマンションは貴重で、空室率も少なく高い利回りで運用できるでしょう。投資的な見方をすれば、供給が少ないためいざ手放す際もあまり価格が下がらず売却できるというメリットがあります。
おわりに
現在、東京都の世帯平均数は2.02人で、2世帯に1世帯が単身世帯と言われています。
東京オリンピックに向けた需要も相まって、現在、ワンルームマンションの売却市場は活発な動きを見せています。既にワンルームマンションを所有している方にとっては、今はまさに売りどきとも言えるでしょう。