基礎知識

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不動産投資やマンション経営の指標となるIRR(内部収益率)とは?

2017.01.20

不動産投資やマンション経営の指標となるIRR(内部収益率)とは?

投資用マンション購入やマンション経営に興味がある方にとって重要な指標となるIRR(内部収益率)は、「NPV(正味現在価値)がゼロとなる割引率」と定義されます。分かりにくい定義ですが、考え方としては金利に似たイメージを持つと理解しやすいかもしれません。

投資物件のIRRの計算には、購入金額、保持期間中の収益、売却金額を使用します。計算によって導き出される数値は不動産投資におけるトータルリターンの指標の1つとなります。

IRR(内部収益率)の算出方法

IRRの算出方法は複雑なため、具体的な数字例を出して解説していきます。

投資用マンション物件を2,000万円で購入し、毎月の家賃収入見込みが20万円、投資期間は5年間と仮定しましょう。

この場合の初期投資額は2,000万円、年間の収益は240万円です。つまり、この投資物件は、年12%の利回りということになります。

5年後に、このマンションが売却価格1900万円で売れると仮定すると、下記の計算によりIRRを導き出すことができます。計算式内の「R」がIRRを表します。

投資金額=1年目の収益/(1+R)+2年目の収益/(1+R)²+3年目の収益/(1+R)³+4年目の収益/ (1+R)⁴+(5年目の収益+売却価格)/(1+R)⁵

IRR(内部収益率)の計算にはエクセル関数が便利

IRRの計算式は複雑なため、実際に計算する場合はエクセル関数の「IRR(値,[推定値])」を使用することをおすすめします。上記で仮定した数値を使用して、実際にエクセルのシート上で計算してみましょう。

下記A列に入力する値は「支払額」や「収益額」で、キャッシュフローの順序通りに入力しています。A2セルが「初期投資額(支払額)」で、A3セル~A6セルまでが年ごとの「家賃収益(収益額)」となります。支払金額は負の値、収益は正の値で入力します。

A7セルは、5年目にマンションを売却できたと仮定して、年内満額支払われた場合の「家賃収益(収益額)」と「売却価格」を足した数値です。

A列 B列

1)金額詳細

  • 2)¥-200,00,000 初期投資額 ※マイナスで表示
  • 3)¥2,400,000 家賃収益(1年目)
  • 4)¥2,400,000 家賃収益(2年目)
  • 5)¥2,400,000 家賃収益(3年目)
  • 6)¥2,400,000 家賃収益(4年目)
  • 7)¥21,400,000 家賃収益(5年目)+売却価格
  • 8)11.20% 投資期間5年間のIRR(内部利益率)

A7セルに入っている関数は =2,400,000+19,000,000 ※計21,400,000

A8セルに入っているIRR関数は =IRR(A2:A7) ※推定値は省略

この場合の投資物件によるリターンは、A8セルの11.2%となります。

投資用物件を購入する際の銀行借入利率が3%と仮定すると、借り入れをしてこの物件を購入したとしても利益が出ることが考えられます。

IRR(内部収益率)とお金の「現在価値」について

上記では売却後の収益を含めた上でIRRを算出しました。しかし、短期間で物件売却を行わない場合、売却利益が入るまでには時間がかかります。ここで考えたいのが「現在価値」についてです。

例えば、現在持っている90万円と1年後に手に入る100万円、どちらの価値が高いか問われた場合は、ほとんどの方が1年後の100万円だと答えるでしょう。

しかし投資の観点から見ると、現在の金額と将来の金額を比較する場合は金利を考慮するため、1年後の100万円が必ずしも価値が高いとは言い切れません。上記の例の場合は金利が11%であれば、現在の90万円と1年後の100万円はほぼ等しい価値と言えます。

一般的に現在価値とは、将来の金額が現在のいくらに相当するかを比較するために、見込み金利分を割り戻して計算したものです。これをPV(現在価値)と呼び、導き出されるNPV(正味現在価値)によってIRRを求めることで、その投資が適切かどうか判断する材料となります。投資先を候補から選ぶ際など、異なる条件下で比較する場合でも活用できるため、不動産物件への投資を行う際はIRRを意識しておくと良いでしょう。

おわりに

実際には、IRRで算出された数値だけでは具体的な指標とはならず、資本コスト(実際に購入にかかるコスト+借入利息)と比較することで、投資に対するトータルリターンをある程度予測することが可能になります。当然、IRRが資本コストより高いほど、投資物件としては優良であると言えます。

2017.01.20

不動産投資やマンション経営の指標となるIRR(内部収益率)とは?
不動産投資やマンション経営の指標となるIRR(内部収益率)とは?

投資用マンション購入やマンション経営に興味がある方にとって重要な指標となるIRR(内部収益率)は、「NPV(正味現在価値)がゼロとなる割引率」と定義されます。分かりにくい定義ですが、考え方としては金利に似たイメージを持つと理解しやすいかもしれません。

投資物件のIRRの計算には、購入金額、保持期間中の収益、売却金額を使用します。計算によって導き出される数値は不動産投資におけるトータルリターンの指標の1つとなります。

IRR(内部収益率)の算出方法

IRRの算出方法は複雑なため、具体的な数字例を出して解説していきます。

投資用マンション物件を2,000万円で購入し、毎月の家賃収入見込みが20万円、投資期間は5年間と仮定しましょう。

この場合の初期投資額は2,000万円、年間の収益は240万円です。つまり、この投資物件は、年12%の利回りということになります。

5年後に、このマンションが売却価格1900万円で売れると仮定すると、下記の計算によりIRRを導き出すことができます。計算式内の「R」がIRRを表します。

投資金額=1年目の収益/(1+R)+2年目の収益/(1+R)²+3年目の収益/(1+R)³+4年目の収益/ (1+R)⁴+(5年目の収益+売却価格)/(1+R)⁵

IRR(内部収益率)の計算にはエクセル関数が便利

IRRの計算式は複雑なため、実際に計算する場合はエクセル関数の「IRR(値,[推定値])」を使用することをおすすめします。上記で仮定した数値を使用して、実際にエクセルのシート上で計算してみましょう。

下記A列に入力する値は「支払額」や「収益額」で、キャッシュフローの順序通りに入力しています。A2セルが「初期投資額(支払額)」で、A3セル~A6セルまでが年ごとの「家賃収益(収益額)」となります。支払金額は負の値、収益は正の値で入力します。

A7セルは、5年目にマンションを売却できたと仮定して、年内満額支払われた場合の「家賃収益(収益額)」と「売却価格」を足した数値です。

A列 B列

1)金額詳細

  • 2)¥-200,00,000 初期投資額 ※マイナスで表示
  • 3)¥2,400,000 家賃収益(1年目)
  • 4)¥2,400,000 家賃収益(2年目)
  • 5)¥2,400,000 家賃収益(3年目)
  • 6)¥2,400,000 家賃収益(4年目)
  • 7)¥21,400,000 家賃収益(5年目)+売却価格
  • 8)11.20% 投資期間5年間のIRR(内部利益率)

A7セルに入っている関数は =2,400,000+19,000,000 ※計21,400,000

A8セルに入っているIRR関数は =IRR(A2:A7) ※推定値は省略

この場合の投資物件によるリターンは、A8セルの11.2%となります。

投資用物件を購入する際の銀行借入利率が3%と仮定すると、借り入れをしてこの物件を購入したとしても利益が出ることが考えられます。

IRR(内部収益率)とお金の「現在価値」について

上記では売却後の収益を含めた上でIRRを算出しました。しかし、短期間で物件売却を行わない場合、売却利益が入るまでには時間がかかります。ここで考えたいのが「現在価値」についてです。

例えば、現在持っている90万円と1年後に手に入る100万円、どちらの価値が高いか問われた場合は、ほとんどの方が1年後の100万円だと答えるでしょう。

しかし投資の観点から見ると、現在の金額と将来の金額を比較する場合は金利を考慮するため、1年後の100万円が必ずしも価値が高いとは言い切れません。上記の例の場合は金利が11%であれば、現在の90万円と1年後の100万円はほぼ等しい価値と言えます。

一般的に現在価値とは、将来の金額が現在のいくらに相当するかを比較するために、見込み金利分を割り戻して計算したものです。これをPV(現在価値)と呼び、導き出されるNPV(正味現在価値)によってIRRを求めることで、その投資が適切かどうか判断する材料となります。投資先を候補から選ぶ際など、異なる条件下で比較する場合でも活用できるため、不動産物件への投資を行う際はIRRを意識しておくと良いでしょう。

おわりに

実際には、IRRで算出された数値だけでは具体的な指標とはならず、資本コスト(実際に購入にかかるコスト+借入利息)と比較することで、投資に対するトータルリターンをある程度予測することが可能になります。当然、IRRが資本コストより高いほど、投資物件としては優良であると言えます。