基礎知識

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マンションなどの不動産投資信託「リート(REIT)」について

2016.12.29

マンションなどの不動産投資信託「リート(REIT)」について


資産運用を検討している方の中には、ファンドや投資信託という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ファンドや投資信託とは、投資対象の株式や債券を個人が購入して運用するのではなく、投資信託運用会社に資金を預けて、さまざまな投資対象に分散してまとめて運用してもらう方法です。

投資信託のメリットは、リスクの分散です。専門家によって選定された複数の投資先に資金を分散して投資するため、個人投資家が行う投資と比較すると大きな損益が出ることは少なくなります。手数料は発生しますが、1口ずつ小額から始められることや、専門家に銘柄を選んでもらえる安心感から、投資初心者にとっては比較的手軽に始められる投資と言えます。

今回ご紹介するリート(REIT)はそのような投資信託の1つであり、マンションやオフィスビル、商業施設などの不動産への投資方法です。


リート(REIT)とは

リート(REIT)とは、不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の略称で、株式や債券ではなく、不動産の運用益に特化した投資信託です。物件の権利ごと購入する不動産投資とは異なり、複数の投資家から集めた資金で不動産を購入した物件から得た売買益や賃貸収入を投資家に配分する仕組みとなっています。

マンションを購入して不動産投資を始めた場合、該当の不動産物件が空室になってしまえば収入はいきなりマイナスになりますが、複数の不動産に少しずつ投資しているのであれば、利益が出ている物件によって損失を補てんすることができます。不動産投資にはローンや諸経費、空室などのリスクもありますが、そのようなリスクを抑えられるのがリートの大きなメリットと言えるでしょう。リートによる投資方法なら、投資信託のメリットである「リスクの分散」を充分に生かすことができます。

リートは1960年代にアメリカで誕生し、日本では「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正によって、2001年9月に初めて証券取引所に上場しました。現在の日本には、運用方針や投資対象により複数のJ-REIT(日本で組織された不動産投資信託法人)銘柄が存在します。

J-REITの利回りは?

J-REITが一般の株式会社と異なる点は、収益の90%以上を分配すれば法人税がかからない点や、企業における内部保留がないという点です。利益のほとんどを配当金に回すことができるため、配当率(利回り)は株式と比較してとても有利になっています。

10年物の国債はマイナス金利となり、東証一部の配当利回りは約2%の現在、J-REITの利回りは平均して3%~4%を保っています。利回りだけを見ても、J-REITは比較的安定的に、かつ高い利回りで運用できる投資先と言えるでしょう。


J-REITの今後は投資すべきか否か

長引く低金利で多くの金融商品が運用難になっている日本では、アベノミクスや東京オリンピックへの期待感から、J-REITへの関心は高まりつつあります。特に、オリンピック開催国の不動産価格は上昇傾向にあることが多く、東京のビル・ホテル関連に投資を行っているJ-REITには今後も値動きが期待できるでしょう。

もちろん、投資であるからにはリスクも存在します。元本や分配金は、必ずしも保証されているわけではありません。投資先が不動産であるという特性から、不動産にかかわる法律や税制が変更されると大きな影響を受けます。また、大きな自然災害や人口減少もリスクとなるでしょう。

おわりに

実際の不動産を購入した場合、売りたいときにすぐに売ることは難しい側面があります。また、売買にかかる多額の手数料や手続き、固定資産税などのことを考えると、なかなか手が出せないという現実もあります。一方、証券市場に上場しているリートであれば、売りたいときにすぐに売ることができます。

もちろん必ず収益が出るというものではなくリスクも存在しますが、長期的に見た場合、今後もインフレに強い不動産を対象としたリートを資産運用の一部に組み込んでおくことは、リスクヘッジにもつながるでしょう。

2016.12.29

マンションなどの不動産投資信託「リート(REIT)」について
マンションなどの不動産投資信託「リート(REIT)」について


資産運用を検討している方の中には、ファンドや投資信託という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ファンドや投資信託とは、投資対象の株式や債券を個人が購入して運用するのではなく、投資信託運用会社に資金を預けて、さまざまな投資対象に分散してまとめて運用してもらう方法です。

投資信託のメリットは、リスクの分散です。専門家によって選定された複数の投資先に資金を分散して投資するため、個人投資家が行う投資と比較すると大きな損益が出ることは少なくなります。手数料は発生しますが、1口ずつ小額から始められることや、専門家に銘柄を選んでもらえる安心感から、投資初心者にとっては比較的手軽に始められる投資と言えます。

今回ご紹介するリート(REIT)はそのような投資信託の1つであり、マンションやオフィスビル、商業施設などの不動産への投資方法です。


リート(REIT)とは

リート(REIT)とは、不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)の略称で、株式や債券ではなく、不動産の運用益に特化した投資信託です。物件の権利ごと購入する不動産投資とは異なり、複数の投資家から集めた資金で不動産を購入した物件から得た売買益や賃貸収入を投資家に配分する仕組みとなっています。

マンションを購入して不動産投資を始めた場合、該当の不動産物件が空室になってしまえば収入はいきなりマイナスになりますが、複数の不動産に少しずつ投資しているのであれば、利益が出ている物件によって損失を補てんすることができます。不動産投資にはローンや諸経費、空室などのリスクもありますが、そのようなリスクを抑えられるのがリートの大きなメリットと言えるでしょう。リートによる投資方法なら、投資信託のメリットである「リスクの分散」を充分に生かすことができます。

リートは1960年代にアメリカで誕生し、日本では「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正によって、2001年9月に初めて証券取引所に上場しました。現在の日本には、運用方針や投資対象により複数のJ-REIT(日本で組織された不動産投資信託法人)銘柄が存在します。

J-REITの利回りは?

J-REITが一般の株式会社と異なる点は、収益の90%以上を分配すれば法人税がかからない点や、企業における内部保留がないという点です。利益のほとんどを配当金に回すことができるため、配当率(利回り)は株式と比較してとても有利になっています。

10年物の国債はマイナス金利となり、東証一部の配当利回りは約2%の現在、J-REITの利回りは平均して3%~4%を保っています。利回りだけを見ても、J-REITは比較的安定的に、かつ高い利回りで運用できる投資先と言えるでしょう。


J-REITの今後は投資すべきか否か

長引く低金利で多くの金融商品が運用難になっている日本では、アベノミクスや東京オリンピックへの期待感から、J-REITへの関心は高まりつつあります。特に、オリンピック開催国の不動産価格は上昇傾向にあることが多く、東京のビル・ホテル関連に投資を行っているJ-REITには今後も値動きが期待できるでしょう。

もちろん、投資であるからにはリスクも存在します。元本や分配金は、必ずしも保証されているわけではありません。投資先が不動産であるという特性から、不動産にかかわる法律や税制が変更されると大きな影響を受けます。また、大きな自然災害や人口減少もリスクとなるでしょう。

おわりに

実際の不動産を購入した場合、売りたいときにすぐに売ることは難しい側面があります。また、売買にかかる多額の手数料や手続き、固定資産税などのことを考えると、なかなか手が出せないという現実もあります。一方、証券市場に上場しているリートであれば、売りたいときにすぐに売ることができます。

もちろん必ず収益が出るというものではなくリスクも存在しますが、長期的に見た場合、今後もインフレに強い不動産を対象としたリートを資産運用の一部に組み込んでおくことは、リスクヘッジにもつながるでしょう。