2016.12.28
年々日本の労働者人口は年々減少の傾向にあり、「マンション空室率の増加」「空き家の増加」といったニュースを耳にすることも増えてきました。今後の資産運用として不動産投資を考えている方にとっては、「空室率の増加」という言葉に「マンション投資は控えておこう」と考える方もいるかもしれません。
その一方、ますます進む高齢化社会に備え、高齢者住宅、中でも「サービス付き高齢者住宅」のニーズが増しています。今後も入居者が見込める高齢者住宅に投資することで、利益を得るだけではなく、高齢化社会をサポートできるという点に、投資家たちの注目が集まっています。
サービス付き高齢者住宅とは
これまで聞いたことはあっても、「老人ホームとどこが違うの?」と思う方も多いかもしれません。老人ホームとサービス付き高齢者住宅には、以下のような違いがあります。
契約形態
老人ホームは利用権契約です。入居の際に一時金を支払い、月々の利用料を支払うことで、その施設を終身利用し、サービスを受ける権利が保障されます。施設側の都合によって部屋を移動させられることがあります。もし退去することになっても、一時金などの初期費用は償却されます。
一方、サービス付き高齢者住宅は賃貸契約です。介護や生活支援のサービスは、別途業者と契約を結びます。賃貸契約ですので退去は自由で、住み替えることも可能です。
サービス付き高齢者住宅のメリット
サービス付き高齢者住宅のメリットとして、一般的な老人ホームと比較して、初期費用が少なく、サービス契約の自由度が高いということが挙げられます。介護施設ではないため、門限や外出届などもありません。法律で定められている1人当たりの専有面積も、老人ホームは13㎡以上に対してサービス付き高齢者住宅は25㎡以上(キッチンなどの共有スペースがある場合は18㎡以上、ただし地域によって異なる場合があります)と、プライバシーを配慮された生活が送れます。
サービス付き高齢者住宅に投資するメリットとデメリット
サービス付き高齢者住宅を投資対象として考えた場合、以下のようなメリットがあります。
・通常の賃貸住宅としては利便性に欠ける立地でも、運営が可能
・入居者はサービス内容や質の向上に関心が高い方が多く、アピールポイントが多い
ただし上記のメリットは、そのままデメリットにもなります。最近は郊外だけではなく、都心にもサービス付き高齢者住宅が増えてきました。アクティブな高齢者が増えてきた現代は、安全な生活を求めつつ、利便性とサービスの向上を求めているからです。
投資対象としてのもっとも大きなメリットは、高齢者の人口は今後も増加を続けるため、バリアフリーなどの必要な要件を満たしたサービス付き高齢者住宅には、大きな需要が見込めるということではないでしょうか。
補助金と税制優遇
サービス付き高齢者住宅を投資対象とする場合、一般の個人の方にはややハードルが高い面があると言えます。施設の運営には広大な敷地と巨額の資金が必要で、サービス業者や医療・福祉関係者との連携が必要になるからです。
しかし、相続で田舎の広大な土地を得た場合などには一考の価値があります。一定の条件を満たして都道府県知事の登録を受けることによって、補助金や税制の優遇措置が受けられるからです。新築については建築費の1/10、改修については建築費の1/3まで(戸数・施設数に応じて上限あり)が補助金の対象となります。税制は、所得税・固定資産税・不動産所得税などが条件によって減額されます。詳細については、国税庁や国土交通省のWebページおよび各都道府県の窓口などで確認することができます。
おわりに
現在の日本は、約4人に1人が高齢者という高齢化社会に突入しました。この割合は今後も増え続け、30年後には、約2.5人に1人が高齢者という、世界にも類を見ない「超高齢社会」になるだろうと予想されています。
土地の有効活用を検討されている方には、今後の需要拡大が大きく見込めるサービス付き高齢者住宅がおすすめです。施設運営の負担とリスクを避けたい場合は、介護事業者などに一括借り上げをしてもらうことで、運営には携わらずに純粋に投資対象として運用することもできます。