2017.08.11
マンションをはじめとする不動産を生前贈与して他者に譲ったり、不動産会社と売買したりすると、不動産の名義変更を行う必要が出てきます。不動産の名義変更とは、法務局に関係書類を提出し、該当の不動産を所有する人物の名義を変更することです。名義変更を行わないと、その不動産の売買を行ったり、第三者へ譲ったりすることはできません。
この名義変更の手続きを自分で行うことは可能ですが、用意しなければならない書類や手順が複雑なため、どのような流れで行うのか理解できていない方も多いでしょう。
そこで、今回はマンションをはじめとする不動産の名義変更手続きについてご紹介します。
生前贈与による名義変更手続きの流れ
生前贈与によってマンションを譲渡する場合、以下の流れで行うことが一般的です。
1.贈与者側が必要な書類を用意する
まず、不動産の所得者が誰であるのかを確認できる書類として、登記済権利証(登記識別情報)を用意してください。その他、印鑑と印鑑登録証明書(発行から3カ月以内)、固定資産評価証明書が必要になります。
2.贈与される側が必要な書類を用意する
贈与を受ける側が必ず用意すべき書類は、住民票です。
3.その他の書類を用意する
1、2の書類に加え、贈与契約書や、贈与による所有権移転登記申請書が必要になります。
申請書類は法務省のホームページに掲載されている雛形を利用すると便利ですが、必要な情報が正しく書かれていれば、自分で作成しても問題ありません。なお、贈与者か受贈人のどちらかに手続きを任せる場合は、委任状も作成することが必要です。
4.法務局に提出する
上記の書類すべてに漏れなく記入したら、不動産を管轄している法務局へ行き提出します。その後1~2週間程で新しい権利書が発行され、手続き完了です。
不動産売買による名義変更手続きの流れ
不動産売買によるマンションの名義変更手続きの場合は、生前贈与の場合とあまり変わりはありません。贈与者が「売主」、受贈人が「買主」となったと考えると分かりやすいでしょう。
具体的な手続きの流れは、以下の通りです。
1.売主が必要な書類を用意する
売主が用意する必要がある書類は、登記済権利証と印鑑証明書(発行から3カ月以内)です。
2.買主が必要な書類を用意する
買主が必ず用意すべき書類は、住民票です。
その他の書類を用意する
不動産売買の場合、「売買契約書」や「抵当権設定登記申請書」などの書類が必要である点が、生前贈与の場合と大きく異なっています。抵当権設定登記申請書とは、マンション購入時にローンなどを組んだ場合、万が一返済不可能になったときに、資金の貸主がそのマンションを担保にできる権利である抵当権を設定するための書類です。
4.法務局に提出する
生前贈与の場合と同じく、上記の書類すべてに漏れなく記入したら不動産を管轄している法務局へ行き提出します。その後1~2週間程で新しい権利書が発行され、手続き完了です。
名義変更に掛かる費用
名義変更の手続きを進めるためには、具体的に以下の費用が必要になります。
・登記事項証明書代:600円
・住民票、印鑑証明書などの発行代:数千円
・登録免許税:固定資産税×0.4%(相続の場合)/固定資産税×2%(相続以外の場合)
例)固定資産税500万円の場合
500×0.4=2万円
個人で名義変更の手続きを行う場合は上記の費用で済みますが、専門家である司法書士に委託して手続きを踏むのであれば別途費用が掛かります。一般的には、司法書士への依頼料は5万円以上が相場です。
おわりに
不動産の名義変更手続きには、普段は聞き慣れない多くの書類を準備し、法務局へ提出しに行かなければならないため、自分で行おうとすると大変労力を必要とします。どうしても自分で行いたいという場合を除いては、司法書士に手続きを代行してやってもらう方が間違いや漏れがなく、確実に済ませられるでしょう。