2017.08.04
近年、不動産投資の中でも中古マンションの人気が高まっています。これは近年続いていた低金利政策の影響や、新築マンションよりも値崩れしにくいなどのリスクの小ささ、マンションの一室から所有できるハードルの低さも人気の理由となっています。
しかし中古マンションは、内装が時代に合っていない、老朽化によって住み心地が悪いなどの問題を抱えていることもあります。そんな中古マンションの一室を、住みやすく他の競合物件と差別化するための手段として、リノベーションが挙げられます。今回は、リノベーションを行うメリット・デメリットについてご紹介します。
中古マンションをリノベーションするメリット
中古マンションを「現状有姿」(修理や保証をせず現状のまま引き渡すこと)で買った場合、一般的にはそのまま賃貸に出せる状態ではありません。また、古いマンションの特徴として、「間取りが使いにくいこと」や「部屋の設備が時代に合っていない」などの状態があると、壁紙を張り替えたり、設備を入れ替えたりする程度では住み良い環境にはなりにくいこともあります。
そのような住みにくい部屋に大幅に手を加えることで、時代のニーズや好みに合わせた部屋作りをすることができます。リノベーションとは、単なる修繕ではなく中古マンションの間取りや用途を大幅に刷新して、「新築以上の性能(資産価値)に高める」ことを指します。
リノベーションのメリットとしてまず挙げられる点が、同じランクの新築物件を購入するのと比べてコストを低く抑えられることです。設計やデザインの工夫によっては、一般的には新築の20%~30%安くなるといわれています。
もう1つのメリットは、デザインの自由度が高いことです。リノベーションでは間取りを変更したり、キッチンをシステムキッチンに変更したり、北欧風のデザインやアジアンテイストのデザインにしたりと自分の理想の住空間を実現できます。
中古マンションをリノベーションするデメリット
理想の環境が手に入るリノベーションですが、デメリットもあります。
まず、「リノベーションできる範囲は専有部分のみ」ということです。いくら室内をきれいに整備できても、マンション自体の外観や共有部分には手を加えることができません。玄関ドアやバルコニー、窓のサッシなどの「外部に接する部分」も、規約によっては勝手に工事できない場合が大半です。
築年数が古く、マンション自体の耐震性に問題がある場合などは、とくに注意が必要でしょう。このような場合は室内であっても、マンションの構造上、水周りの配管位置や壁の位置が変えられないこともあります。
その他のデメリットは、期間と費用に関することです。設計から施工までをしっかりと見積もり、計画を立てないと、予算を大幅にオーバーし工期が延びてしまうことがあります。当然、リノベーション中はその物件を運用することができないため、損益が発生するでしょう。また、リノベーションの費用は一般の住宅ローンとは異なり、やや金利が高い傾向にあります。マンションの購入時のローンが残っている場合は、リノベーションローンを新たに組めるかどうかを金融機関に相談すると良いでしょう。
リノベーションを前提とした中古マンションの選び方
を入手し、注意すべき点を押さえていればメリットの方が大きいといえます。リノベーションを前提としていれば、エリアや広さ、間取り、内装などに制限されることなく、自由に理想の物件を作りだすことができるため、中古マンション選びの幅が大きく拡がるでしょう。
新築物件の価格は、最初の10年から15年の間に大きく下落し、その後はなだらかに安定する傾向にあります。そのため、狙い目としては10年以上経過しているそれほど古くない物件、耐震基準を満たしている物件がおすすめです。
おわりに
購入したままの状態の中古マンションは、快適に住めるような環境であるとは限りません。リノベーションは、コストを抑えながらも、住環境を整えるだけではなく部屋を自由にデザインすることができますが、管理者との契約内容によっては施工範囲が制限されたり、時間が掛かったりなどのデメリットもあります。リノベーションローンや配管設備など、場合によってはリノベーションよりもマンション売却の方が良いこともあるため、中古マンションのリノベーションを考える際はその他の手段も合わせて検討することをおすすめします。